2011年5月28日土曜日

7)借金を返すとおカネも消滅する


 「借金を全部返すとおカネもすべて消滅する」財政再建をどうこう考える前に、まずこの事実をきちんと理解しておかなければなりません。「人々が借金をすべて返済すると、世の中のおカネもすべて消滅する」。民主党は明らかにこの事を理解していないのです。

 なぜ借金をすべて返済するとおカネがすべて消滅するのか。それはおカネが借金の裏返しとして作られているからなのです。現在の金融制度はそういう仕組みなのです。そしてその仕組みを負債と資産の関係から表現したものがバランスシートです。

 バランスシートは左側に資産、右側に負債を計上します。それらの合計は基本的にゼロになります。他の項目としてバランスシートにある純資産は後ほど考えるとして、基本的に負債と資産の合計はゼロになります。それはなぜでしょうか。おカネは銀行が作り出していますが、銀行の作るおカネは必ず借金と対になって生み出されるからです。銀行は貸し出しの際におカネとして「預金」=「資産」を作り出しますが、同時に同額の「借金」=「負債」も作り出しているからなのです。そして、負債は返済すると資産と相殺されて消えてしまいます。そうです、おカネとはもともと何も無いところからマジックのように作られたものなのです。これを信用創造と言います。だから返済すると消えるのです。


 仕組みは簡単です。借り手から見た場合の借金つまり負債を-(マイナス)、おカネつまり資産を+(プラス)で表現した場合、100のおカネが生み出される手順は


 0 → (+100) + (-100) です。


 資産と負債が同時に生まれましたので、帳簿上は問題ありません。そして、それゆえに必ず資産と負債の金額は同じになります。そして負債は借り手に残り、資産は「預金」として世の中に流通し始めます。預金は、やがて借り手の借金返済により相殺されて消えるおカネなのです。現代の通貨制度では、おカネとは債権の一種なのです。これが、借金をすべて返済すると世の中からおカネがすべて消滅するという理由です。

 しかし、もし世の中からすべてのおカネが消えてしまったら大変な事になります。ですから、今の金融制度ではすべての借金を返済することは不可能であり、必ず誰かが借金を続ける運命にあるのです。誰かが必ず借金をして利息を負担しなければならない。まず、この事実を確実に理解する必要があります。なぜ国の借金がなくならないか?その理由もここにあるからです。