2011年12月30日金曜日

増税は避けられないというウソ


まるで消費税増税で社会保障が安定するかのようなウソが繰り返されている。しかも歳出削減すれば増税の影響が軽減されるかの如きマヤカシのおまけまで付いてきた。消費税を増税しても歳出を削減しても、財政再建の問題も社会保障の問題も根本的に何も解決しない。マスコミは最も重要な問題から逃げている。

デフレ脱却なくして財政再建も社会保障の安定も無い

原則はデフレ脱却です。このがん細胞を放置したまま単に鎮痛剤を与えたり栄養剤を補充しても、一時的に症状は良くなるが患者はじわじわと死んでゆく。デフレの最も恐ろしい影響は、日本の生産能力を破壊する事にあります。生産能力が人々の生活を支える財(商品やサービス)を作り出す。これが破壊される事は致命的なのです。財政が破綻してもインフレになるだけで商品量は不足しないが、デフレを放置すると生産能力が破壊されてモノ不足の貧困社会になる。

どれほど少子高齢化が進んでも、日本国民の需要を満たすだけの生産力があれば、何も恐れる事などありません。技術革新による生産性の向上は単位人口当たりの生産能力を向上させることにより人口減少下においても生産能力を維持・拡大させる事を可能とします。ましてや日本には活用されていない生産力(デフレギャップ)が20兆円以上あります。まずこれを活性化することが財政再建や社会保障制度の安定に不可欠なのです。

循環する通貨を増やしてデフレ脱却せよ

①日銀は通貨を発行し、買いオペではなく、直接国債を引き受けよ
②または政府通貨を発行し、社会保障・震災復興に投入して需要を高めよ
③するとデフレで大量にある余剰生産力が活用される=失業が改善する
④循環通貨量が増大して税収が増える
⑤通貨量の増大により円高が解消されて輸出企業の収益が改善
⑥法人税の税収が増大する

貯蓄の減少は国家バランスシートの縮小が原因に過ぎない

民間の貯蓄が減って国債を買い支えられなくなる、というウソも流されている。簿記のシステムにおいて、資産と負債の合計は同じです。経済の主体を「民間」「政府」「企業」とすれば、民間預金が減れば、その分が必ずいずれかへ行く。この場合は企業へいく。企業の預金が増えれば、それを預かる銀行はやはり国債を買うだろう(もちろん設備投資にまわしてくれれば経済回復するので財政再建できるが)。つまり企業と民間の預金の合計は減らない。だから国債を買い支えられなくなることはない。もし預金の総額が減るとすれば、それは銀行への借金を減らした場合だ。預金(資産)は借金(負債)の裏返しなので、銀行への借金が減れば預金総額が減る事になる。これが国家バランスシートの縮小。つまり、だれかが借金しなければ成り立たない現代経済システムにおいて「誰が借金するか」という問題なのです。この狂った借金経済システムこそが元凶。

このシステムにおいて、バランスシートの縮小を防ぐには政府が債務を増やすしかありません。ただし金利負担のない債務で行う必要があるのです。これが日銀の国債引受に他ならない。実に簡単ですね。バランスシートの拡大を民間に売却する国債(返済利息付きの国債)でやらなければならない理由は無い。そんなことをするから国が借金の奴隷になるのです。

「痛み」に陶酔するマスコミ

マスコミは「痛みを伴う改革」を連呼する。お得意の繰り返し報道だ。「痛みを伴う改革」が良い事のように刷り込みたいらしい。ところが「痛みを伴う改革」と「痛みを伴う改悪」は異なる。マスコミはよほど苦行がスキなのか、痛みを伴う変化は常に良い事と信じているようだ。苦行における自己陶酔や宗教における神との契約を彷彿させる禁欲ぶりではないか。そのような精神主義では太平洋戦争の二の舞だ。戦時下の翼賛報道と同じ。

小手先の低所得者対策というマヤカシ

失業は貧困の極めて大きな原因となる。失業をもっとも悪化させるデフレを放置したまま低所得者対策を行ってもきりが無い。穴の開いたバケツに水を入れるようなものだ。まずバケツの穴をふさぐ事。フィリップス曲線も知らんのか?

日銀の忠実な下僕

誰の事かな?