2012年1月14日土曜日

消費税増税は生産性の向上で不要になる

増税しても問題の本質は何も解決できません。社会保障制度を考える上で最も重要な方針は、国民一人当たりのGDPを維持あるいは向上させることにあります。なぜなら国民一人当たりGDPとは国民一人一人が受け取る財(商品やサービス)の量を意味するからです。そして国民一人当たりのGDPを向上させるとは、生産性を向上させることなのです。

国民一人当たりGDPは豊かさの指標

GDPとは国内総生産のことです。国内で生産され消費された一年間の財(商品やサービス)の総額です。これを日本の全人口で割り算すると国民一人当たりが生産し消費した財の額になります、つまり国民一人が受け取った財の量です。一人一人が受け取る財の量が増えるという事は一人一人が豊かになるということです。つまり、高齢化が進もうと、人口が減少しようと、国民一人当たりのGDPが維持あるいは向上すれば国民生活は維持あるいは向上するのです(比較には物価変動分を差し引いた実質GDPを用います)。ですから国全体のGDPの変動だけを観察しても意味がありません。たとえ人口減少で国のGDPが減少しても一人当たりGDPが増加すれば国民の生活レベルはむしろ向上します。この事をしっかり理解しませんと、マスコミの大衆操作の術中にはまる事になります。

一人一人が産み出す財の量が多いほど分配も多くなる

国民一人当たりのGDPが大きいと言う事は、国民一人一人が生み出す財の量が多いということです。これは生産性が高いことを意味します。一人当たりの生産性が高ければ高いほど人々は豊かになるのです。国家経済は一人一人が生み出した財を交換し合って成り立っていますから、一人一人が多くの財を生み出せば生み出すほど分配も多くなります。それでも貧困層が多いのであれば、それは分配のシステムに欠陥があることになります。一部の層に財の分配が集中しているために貧困が生まれるのです。

増税は社会保障を根底から破壊する

生産人口が減少しても心配する事はありません。生産人口が減少しても、それを上回る生産性の向上があれば人々に分配できる財の量は減りません。つまり、生産性をいかに向上させるかが非常に大切なのです。ところで増税によって生産性が向上するでしょうか?いえ、むしろ生産性の向上を阻害します。増税はデフレを助長する事により企業の設備投資を減らしてしまいます。生産性の向上はテクノロジーの進歩がもたらしますので、企業の設備投資が減少することは生産性の向上を阻害する事になるのです。つまり増税によって、むしろ社会保障を根底から破壊します。

少子高齢化でも豊かになる日本

それでは、マスコミの主張するように少子高齢化で日本を支えられなくなるのでしょうか?簡単にシミュレーションしてみましょう。現在の生産性向上は年率2%程度です。これはデフレかつ生産人口がほぼ横ばいの日本における経済成長率です。つまり不況下でも年率2%は生産性が向上します。結論から言えば、生産性の2%成長を維持するなら、少子高齢化かつ人口減少でも25年後の日本はさらに豊かになります。




1)人口データ
  高齢社会白書の2010年と2035年の推計値。単位=千人。生産年齢15~59歳の場合。
  2010年の人口   127,176   2035年の人口 110,679
  2010年の生産人口 71,290   2035年の生産人口 53,802・・生産年齢は75%に減少

2)25年後の生産性を算出(指数表記)する
  Gn=ある時点における生産性(指数で考える)
  Gn+1=Gn×1.02  Gn=1として エクセルで25回ループ(つまり複利計算)。
  2035年の生産性G≒1.64・・・・① 25年後の生産性は1.64倍に増える。

3)2010年の国民一人当たりGDPを算出(指数)
  生産人口(7,129)×2010年の生産性(1.0)=7,129・・・2010年のGDP
  2010年の国民一人当たりGDP=2010年のGDP(7,129)÷2010年の総人口(127,176)=0.56

4)2035年の国民一人当たりGDPを算出(指数)
  生産人口(5,380)×2035年の生産性(1.64)=8,823・・・2035年のGDP
  2035年の国民一人当たりGDP=2035年のGDP(8,823)÷2035年の総人口(110,679)=0.8

5)結論
  2010年の国民一人当たりGDP(0.56)<2035年の国民一人当たりGDP(0.8)
   ゆえに、25年後にも日本の需要は十分にささえられる
  また、
  2035年の国民一人当たりGDP(0.8)÷2010年の国民一人当たりGDP(0.56)=1.43
   ゆえに、25年後の国民は現在より43%も裕福になる。


25年後の日本は生産人口が現在の75%へ減少する(人口推計より)。
しかし国民は40%も裕福になる。


日本の将来へ投資せよ

もちろん、このまま何もせずに居ればよいのではありません。地球資源の枯渇が目前に迫りつつあります。資源の不足は生産性の向上の極めて深刻な阻害要因となります(資源価格の値上がりと入手困難)。つまり手を打たなければ年率2%の生産性向上を維持できなくなるのです。これこそが最も危険です。財政収支は帳簿における単なる帳尻の問題ですから、金融システムの変更でいかようにもなります。あんな表面的な話で大騒ぎするとはまさに国会は「茶番」です。レベルが低すぎる。先を見通す眼力があれば、本質は「富を生み出す力」にあるとわかるはずです。

エネルギー供給と資源のリサイクルが日本の生命線となります。潤沢なエネルギー源と資源のリサイクルという強力なインフラが完成すれば日本の前途は必ず開けます。それこそが循環型社会です。デフレで余剰生産力が年間30兆円もある今こそ、社会資本に投資するチャンスなのです。そのチャンスを増税で潰すなど亡国以外の何物でもありません。