2012年1月22日日曜日

財政破綻で大成功したアルゼンチン

アルゼンチンはIMFの介入を受け、新自由主義政権の下で経済が崩壊し財政破綻したが、その後、新自由主義を排除し、目覚しい経済成長と福祉の実現を達成しつつあります。共産主義が病気であると同様に、新自由主義も国家を破綻に追い込む病気なのです。

「マスコミに載らない海外記事」というすばらしいブログがあります。そこでの記事「アルゼンチン: 何故フェルナンデス大統領が当選し、オバマが落選するのか」を以下に抜粋・一部修正して引用します。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-8c71.html

アルゼンチン、危機から、力強い成長へ

アルゼンチンの経済的破局と大衆反乱は、それまでアルゼンチンを支配してきた軍国主義と投機的略奪から、社会福祉と持続的な経済成長へという基本的転換を実現する好機となった。その結果、アルゼンチンはアメリカが後押しした30年間の略奪的新自由政権を脱し、「正常な資本主義福祉国家」を作り出すことに成功したのだ。

アルゼンチンは、1976年から1982年の間に、30,000人のアルゼンチン人を殺害した大量虐殺将軍達を生み出した、残虐な軍事独裁に苦しんだ。1983年から1989年まで、独裁政権時代の遺物に対処し損ね、三桁のハイパー・インフレーションの中で指揮をとった、新自由主義政権のもとで、アルゼンチンは苦しんだ。1989年から1999年、アルゼンチンは、最も利益の上がる、公企業、天然資源(石油を含む)、銀行、道路、動物園や公共トイレを、特売価格で外国投資家に売り渡された(追伸:世界銀行やIMFが介入した国では良くある搾取事例)。そして2001年12月、銀行が閉鎖し、10,000社が倒産し、最終的壊滅的崩壊に至った。

アメリカとIMFが推進した“自由市場”政策の全面的な失敗と人的災害を背景に(追伸:IMFの介入を受けた国家は長く貧困に苦しむが、アルゼンチンもそれ。IMFの実態を良く知るマレーシアはアジア通貨危機後にIMFを断固拒否して経済的に復活を遂げた)、キルチネル/フェルナンデスはアルゼンチンの対外債務をデフォールトし、民営化されたいくつかの企業と年金基金を再国有化し、銀行に干渉し、経済再生に向け社会的支出を倍増し、製造向けの公共投資を拡大し、一般消費を拡大した。2003年末までには、アルゼンチンはマイナスから、8%成長に転じた。

人権・社会福祉と独立した対外経済政策

アルゼンチンの経済は、2003年から2011年までに、アメリカ合州国の三倍以上、90%成長した。経済回復とともに、とりわけ貧困を減らす為のペログラムへの、三倍の社会的支出が行われた。貧しいアルゼンチン人の比率は、2001年の50%以上から、2011年の15%以下へと減少した。対照的に、アメリカの貧困は、同じ十年間で、12%から17%に増大した。

アメリカは、1%の人々がアメリカの富の40%を支配する(OECDで不平等が最大の国)。対照的に、アルゼンチンの不平等は半分に縮小した。アメリカ経済はリーマンショックで8%以上も下落し、2008-2009年の深刻な不況から回復し損ねた。対照的にアルゼンチンの落ち込みは1%以下で、堅調に、8%成長をとげている(2010-2011)。アルゼンチンは年金基金を国営化し、基本年金を倍増し、栄養不良対策と、就学を保証する、全児童に対する福祉プログラムを導入した。

対照的にアメリカでは、20%の子供たちが貧弱な食生活に苦しみ、青年の中退率は増大しており、少数民族の子供たちの25%が栄養不良状態にある。医療/教育の更なる削減が進むにつれ、社会状況は悪化するばかりだ。アルゼンチンでは、給与所得とサラリーマンの数は、実質で、10年間に50%以上増えたが、一方アメリカでは10%近く減少した。

アルゼンチンGNPの力強い成長は、成長する国内消費と、力強い輸出収入に支えられている。アルゼンチンの貿易黒字は有利な市場価格と競争力によって安定している。対照的に、アメリカの国内消費は停滞し、貿易赤字1.5兆ドルに迫り、歳入は年間9000億ドル以上の非生産的な軍事支出に浪費されている(追伸:だからTPPを強引に進めるわけだ)。

緊急援助と貧困に対するアルゼンチン式代替案

アルゼンチンの成功体験は、国際金融機関(IMF、世界銀行)、その政治支援者、経済新聞の評論家連中のあらゆる教えに反している。経済専門家達は口々に「アルゼンチンの回復は持続可能ではない」と予言したが、成長は十年以上にわたり継続した。金融評論家は、デフォールトすれば、アルゼンチンは金融市場から締め出されることになり、経済は崩壊するだろうと主張した。しかしアルゼンチン経済は出収入と国内経済の再活性化に基づく自己金融によって成り立っており、高名なエコノミストを当惑させている。

フィナンシャル・タイムズのコラムニストは依然としてアルゼンチンの「来るべき危機」について電波を飛ばしている。彼等は「高いインフレーション」「持続不可能な社会福祉」「過大評価された通貨」を持ち出してアルゼンチンの「繁栄の終わり」という予言を書きたてている。8%という成長率の継続や、2011年選挙でのフェルナンデス大統領の圧倒的勝利を目の前にして、自由主義者たちからの中傷誹謗は加熱するばかりだ。英米の金融関係ジャーナリスト連中は、学ぶ価値があるアルゼンチンの経済経験を中傷するのではなく、ヨーロッパと北米における自分たちの自由市場体制の終焉にこそ取り組むべきだろう。