2012年2月12日日曜日

年金財源のために若者を貧困化する愚行

財源をカネの収支側面からしか見る事の出来ない財務省と野田増税内閣。このような安易で知的怠慢な連中に国政を任せていると、日本経済は確実にジリ貧となり、将来世代のツケは恐ろしいほど過酷となる危険性が高いのです。

人々の生活を支えるのは「カネ」ではなく「モノ」です。モノすなわち消費財の生産力こそが国民を支え高齢者を支えるのです。ゆえに年金財源を議論するなら、生産力の最大化の視点から考えなければ無意味なのです。カネの収支をあわせることが年金財源を考える事ではないのです。ところが財務省と野田増税内閣は、富を産み出す力を増やすことより、増税で帳尻を合わせることしか頭に無い。

「税と財政」は生産力の配分計画である

税とは富の再分配であるが、その実態は通貨を介した国内生産力の配分計画であることがわかります。日本の生産力をどこに振り向けるのか?それが税と財政政策で決まるのです。そのシステムは以下のように考える事ができます。

税を集めるとはどういうことか?税として徴収されなければ、消費に向けられていたはずのおカネが国民の財布から政府へと移転します。すると本来は国民が消費したであろう分野の商品が売れなくなります。たとえば、おカネが無くなったのでパソコンを買わなくなったとすると、パソコンが売れなくなり、パソコンの生産量が減ります。するとパソコンを生産していた分の生産力が余ります。仕事が減って労働者が失業します。

次に、国民から集めた税を財政政策で公共事業に、たとえば橋の建設に使用したとします。橋を作るためには生産力が必要で労働者が必要です。パソコンの生産が減ったことで余った生産力が橋を作るために投入される事となり、パソコンの生産が減った事で生まれた失業者がここで吸収されます。単純にいえばそういうことです。

さて「税と財政政策」で何が起こったか?パソコンの生産に向けられていた国内生産力を橋の生産に組み替えた事になるのです。このような生産力の組み換えが「税と財政政策」の実際です。税を単なるカネの収支として考えるのではなく、生産力の徴収と再分配(=組み換え)として捕らえる事により、実物経済をふまえた財源についての思考方法を身に着けることが可能になると考えます。

つまり、増税により特定の分野の財源を確保するということは、ある分野に向けられていた生産力を減らして特定の分野に移し変える行為に過ぎないのです。本来あるべき財源の確保とは、限られた生産力の奪い合いではなく、生産力を増やすことによって行われるべきなのです。

若者の貧困化を防げ

生産力の再配分という視点からみると、消費税を増税して年金に回すということは、いままで若者世代の消費のために使われていた生産力を裂き、高齢者の消費のために生産力を使うということを意味します。これでは若者世代が貧困化するのは当然なのです。少子高齢化への対応が急務であり、そのためには若者の生活を安定化し、子育てのための十分な消費財を供給する必要があるにも関わらず、若者のために使われていた生産力を高齢者のために裂く事は極めて矛盾している。こんな不毛な政策をしていては、ますます少子高齢化に拍車がかかるのです。

高齢者の消費を維持するために若者世代の消費に使われていた生産力を裂くのではなく、デフレで余っている労働力を活用し、生産性の向上を図ること、すなわち雇用と資本装備率を最大化し、日本の生産力を極限まで高める事こそが高齢化対応の王道です。生産力を増やすことこそ高齢化対応なのです。その意味で、増税は邪道であり、知的怠慢にすぎません。

ゆえに、高齢化対応の最優先課題は「デフレ脱却」であり、そのためには通貨流通量の増大による潜在生産力、潜在成長力の活性化を図るべきなのです。失業者に仕事を与え、富を産み出すこと。企業の設備投資を高め、技術革新と機械化による生産性を高める事。現代の経済体制でそれらを可能にする唯一の方法が「潤沢な通貨供給」です(社会主義経済であれば国家が直接に生産力の配分をコントロールするので通貨増大政策は不要となるが、官僚にありがちな癒着や怠惰の問題が発生する)。

インフレになったとしても、日本が生産する富の量が増えるなら人々の暮らしは決して苦しくなりません。インフレは単なるモノの値段の問題であり、モノが値上がりしても人々の手にするおカネの量がそれを上回るだけ増えるなら何の問題も無いのです。日本の産み出す富の量が増え、富が市場経済を通じて公正に分配されるなら、カネの価値の大小など何の意味も持たないのです。

日本を破滅させる「消費税増税」を企む連中

「消費税増税」は潜在生産力や潜在成長力を潰し、少子高齢化を加速させ、国家を破綻させる最も危険な政策です。日本経済は、日銀による20年におよぶデフレ維持政策と財務省による計画的増税という断崖絶壁に追い込まれています。そして今まさに野田増税内閣が日本を崖から突き落とそうとしているのです。