2013年1月4日金曜日

良いバラマキと悪いバラマキ

<バラマキって悪い事なの?>

Q:子供手当てや公共事業は、よく「バラマキだから悪い」と言われるけど、悪いことなのにゃ?

A:ほっほっほ、バラマキだから悪いというのは先入観じゃな。子供手当てが支給されれば子育て世帯は大助かりだし、公共事業が行なわれれば、雇用が生まれて失業者も減る。じゃから、バラマキそのものは決して悪い事じゃないんじゃ。良い事なんじゃよ。ただし、そのための財源が必要になるから簡単ではない。今はデフレ不況のために、財源となる税収が毎年落ち込んでおるからのお、バラマキの財源は借金で、という話になるのじゃ。じゃから借金でバラマキを続ける事は出来ないという話なんじゃよ。バラマキは良いとか悪いとかいう「善悪や道徳の問題」ではない。「バラマキ」と聞いただけで深く考えもせずに「悪い」と決め付けるのは思考停止なんじゃ。逆に、バラマキで税収が増えるという場合だってある。言うなれば「良いバラマキ」と「悪いバラマキ」があるわけじゃな。

Q:良いバラマキって何にゃん。人助けのことかにゃ?

A:確かにそういうのも必要じゃな。日本は地震やら台風やら、自然災害が多い。だから人々の生命を守るために公共事業を行うのは国家の大切な役割の一つじゃ。じゃが、国土がコンクリートで頑丈に強化されても、人々が貧しくなってしまったら本末転倒。だからバランスが大切なんじゃよ。

Q:じゃあ、他にはどんなバラマキが良いバラマキなのかにゃあ。

A:そうじゃな、企業の活動を促進して、国の生産力を増やすバラマキが良いバラマキじゃ。インフラというやつじゃ。道路や鉄道、通信網などは、それそのものが価値を生み出すことはないが、経済を活性化して財(商品やサービス)の生産を増やす働きがあるのじゃ。より多くの財(商品やサービス)が生み出されれば、GDPは増加し、つまり国民の手にする財の量も増加することになるんじゃよ。経済活動が活発になれば、世の中を回るおカネの量が増加するから、当然ながら税収も増える。これなら借金して投資しても、税金として戻ってくるから問題ないのじゃ。このような公共事業は決して無駄ではないぞ。むしろどんどん推進すべきじゃ。

Q:でも、日本のインフラは十分にあるのにゃ。もういらないにゃ。

A:インフラは確かに発達しておる。じゃが、老朽化したインフラは新しいものに作り変えていかなければならないのじゃ。それを怠っているとトンネルが崩落したりして経済活動に悪影響を及ぼすようになる。それに何といっても今後は原発の代替エネルギー開発じゃ。ひとたび事故を起こせば国土を荒廃させるような原発に依存することは極めて危険じゃ。しかも核燃料はすべて輸入に頼らざるを得ないため、日本のエネルギー依存度は一向に改善できないんじゃ。日本のエネルギーの自給率が4%なんて異常じゃろう。エネルギー自給率を高めるのは確かに時間はかかるがの、日本が世界情勢に振り回される事なく安定した国民生活を得るためには不可欠な事なんじゃ。メタンハイドレートは日本近海に大量にあるとされ、また自然エネルギーはすべて日本国内で調達できるから、これらの開発が急がれるのじゃ。

Q:でも自然エネルギーはコストが高いっていうにゃ。

A:だからこそ公共投資なのじゃ。民間需要主導では発注量が少ないため、量産効果でコストが下がるまでに相当時間がかかる。大規模な公共事業によって量産効果が現れると、導入コストも下がって民間も参入しやすくなる。その後は、民間主導に切り替えて行けばよいのじゃ。そのためにも、公共事業はザルではなく、しっかりした管理の下に効率的に行なわれ、技術開発が進められなければならないのじゃよ。

Q:じゃあ、悪いバラマキは?

A:使われない施設などを作る、むやみに河川や海岸をコンクリートで固めるなどじゃ。こういう分野におカネを使っても、経済活動を促進するわけではないので、財の生産も増えず、税収も増えない。財政を悪化させる事にもなりかねないのじゃ。じゃが、最初にも触れたように自然災害から人々を守るための必要な公共事業は行なわれなければならないのじゃ。それは、経済の「余力」で賄わねばならん。そのためにも、日本全体の経済が活性化しなければ、余力など生まれんのじゃ。

Q:子供手当てなどは悪いバラマキなのかにゃ。

A:そうとは言い切れんな。じゃが、民主党のやった子供手当てはまずい、あれでは子供など増えない。子供手当ての本来の目的は「子供を増やす」ことじゃ。本気で子供を増やしたいなら、一人目は出さず、二人目から、そして子供の数が増えるほど支給額も相乗的に増やす「成果主義」にするんじゃ。それなら三人目、四人目の子供を育てる意欲がわくじゃろ。子供は成長すれば将来の生産をになうのじゃ。財を生み出すのじゃ。じゃから、借金してでも子供を増やせば、必ず日本は良くなる。逆に言えば、子供が増えない子供手当ての制度は悪いバラマキなんじゃよ。

Q:でも、政府にはおカネがにゃいから、当面は借金でまかなうのかにゃ?大丈夫なのかにゃ。

A:ほっほっほ、じゃから日銀引受なんじゃよ。日銀引受なら財政は悪化しないんじゃ。前回も話したが、日銀は政府の銀行じゃ。政府の銀行から政府がいくらおカネを借りても借金にはならんのじゃ。通貨が増えるだけなんじゃよ。これを批判する人は「財政ファイナンスは禁じ手」などというが、何も悪い事ではない。それころか、自ら禁じ手を作って泥沼から抜け出せないまま水底に沈んで行くのは、馬鹿というものじゃ。そういう輩は、政府がカネを増やす事でインフレになると損をする連中なのじゃよ。じゃから必死にデフレを維持しようとしておるのじゃ。

Q:おカネが増えるとインフレになるの?

A:そうじゃな。一般的にはそう思われておるが、そんなに単純なことではないぞ。インフレの基本をしっかり理解しておらんと、ただ単純に「カネが増えればインフレになる」という思い込みに振り回されて、本質を見失う事になるのじゃ。基本をすっとばしてはいかん。

次回はインフレの話じゃ。