2014年7月10日木曜日

この世に正義は存在しない

正義というものが「ある」と考える事にすべての間違いがあると思われます。歴史認識(多くの場合は歴史評価)などというものは、そのような妄想から生じているのでしょう。しかし正義は人間が作り出した概念に過ぎず、およそ不自然なものです。現実には、この世は弱肉強食がすべてを支配する真理です。しかし自然の摂理のままに人々が活動すれば、人間社会が崩壊する事もまた真理であり、そこで行動規範としての正義という価値観が必要とされたのでしょう。必要とされたから、正義は作り出されたわけです。

しかしそれでも、正義は絶対的に存在するものではありません。古代においては王こそが正義であり、勝者こそが正義でした。近代においても変わらない。革命に勝った側が正義であり、負けた側は悪人とされる。正義は後から作られる。ゆえに正義の定義は、その時代時代で異なり、決して定まらないのです。絶対的な価値観としての正義は存在しないのです。

ゆえに、正義を固定化するには「法」しかない。「法の支配」こそが正義を体現化する唯一の方法論です。現代においては、法によって正義は定義される事になります。もちろん哲学的な意味とは異なりますが。そして、現代の国際社会においては、国際法が正義の根拠であり、これを生み出し、守ることが重要なのは言うまでもないと思います。

そしてまた、当然ながら過去の歴史において、正義が成されたかどうか、あるいは罪があるかどうかはすべて、当時の法に基づいて判断されなければならないわけです。現代の法ではないわけです。道徳的慣習や感情ではなく、法です。もともと絶対的価値観としての正義など無いのですから、法に基づいて判断しなければならない。そうでなければ、勝者が正しく、敗者が誤りという「古代の正義」になってしまいます。

そういう単純明快な話を理解できない国が隣で騒いでいるのは、実にやっかいですね。