2014年9月12日金曜日

ドイツ財政再建達成 日本は無理?

先日、ドイツが国債の新規発行をゼロにする事に成功したとのニュースが流れていましたので、また財政再建派が騒ぐと思っていましたら、案の定、そういうブログがYahooニュースに紹介されていました。

ドイツにはできるが、日本には財政再建をやる気が無いとかいう話です。借金はいずれ返さなければならないとも言っていました。読む前から内容がわかる程度の話ですが、こういう話を盲目的に信じる人は多いのではないでしょうか。

しかしそのブログからは肝心な論点がすっぽり抜けており、ご都合主義的な雰囲気が感じられました。その論点とは、「ドイツは膨大な貿易黒字を計上している」ということです。貿易が黒字だと通貨が外国から流入するため、財政は黒字になりやすいのです。一方の日本は火力発電用の燃料の輸入費増大の影響もあって、貿易収支は赤字、経常収支もギリギリの状況です。ドイツに比べて日本は財政再建をやりにくい。すなわち、経済状況がドイツと日本では異なるため、同じ土俵で比較するのは無理があるのです。

しかも、ドイツが貿易黒字で財政再建を達成しているという事は、逆に貿易赤字の国を生み出している事であり、貿易赤字の国は財政再建どころか、財政破たんに向かう危険性があるのです。つまり、ドイツの財政再建は貿易赤字国の犠牲のもとに成り立っているわけです。ですから、黒字垂れ流しのドイツが世界で批判を浴びています(中国はもっと黒字垂れ流しですが)。

また、「借金は返さなければならない」という暗示もまたバカバカしい。そもそも現代社会におけるすべての通貨は誰かの借金から出来ている(信用通貨)わけですから、借金をすべて返すと経済は破綻します。未来永劫に借金をしつづけるのが資本主義の基本システムなのです。

政府、家計、企業のいずれかが銀行に借金することで経済が成り立つ、それが資本主義ですから、「借金を返せ」とは、笑うしかありません。誰がどれだけ借金するか?財政政権とはその比率をどうするかというだけの話なのです。根本的に狂っています。狂った中で、狂った理論に合わせてうんちくを述べられても、「まあ、確かにそうだけどね」と苦笑するしかありません。