2014年9月19日金曜日

所得の大小は労働ではなく仕組みで決まる

多くの人は労働や成果に応じて給与(所得)がもらえると信じ込んでいます。労働して生み出した付加価値に応じて所得が分配されるという考えです。しかし実際には、そうではないと思うのです。

世の中をよく観察すると、所得は労働や成果とは無関係に「しくみ」によって決まっているように見えます。つまり「カネがポケットに入る仕組みを作れば、それに従っておカネが手に入る」わけです。社会的に富(財)を何も生み出していなかったとしても、仕組みがあれば自動的におカネはポケットに入る。

それを痛切に感じさせたのは「投機マネー」です。カネからカネを生む、その行為は、どんなに美しい理論を付けても、富を生み出しているとは言えないでしょう。しかもバブルを引き起こし、世界中の人々に莫大な損失を与えても、なお、カネが彼らのポケットに入る。

投機マネーを運用する会社の重役やトレーダーが巨万の報酬を得るのはなぜか?もちろん、「カネを増やしたい」という人々の欲望が動機となっていることは間違いありません。しかし、その動機を利用すれば、何の富を生み出さなくとも、ポケットにおカネが入る「しくみ」を作り出すことができます。それが金融街の実態だと考えています。

しかしこれは投機マネーに限った事ではないと理解しました。程度の差こそあれ、カネを扱うあらゆる活動の中に、それを見出すことができると思います。

そして、人々に富をもたらすための経済活動が、ポケットにおカネを流し込むための「しくみ作り」に利用されるだけになる危険性がある。その極端な例が投機マネーであり、それが世界を覆い尽くすばかりに拡大している現代は、健全な社会とは思われないのです。