2014年9月20日土曜日

増税するなら「金融資産課税」にすべし

私は増税には反対ですが、どうしても増税で財政再建したいのであれば、消費税ではなく「金融資産課税」にすべきだと思います。対象は家計と企業の両方です。

家計や企業の資産は、膨大な国債という負債があるから成り立っています。ですから国債を減らす場合、家計や企業の資産を減らす以外に方法はありません。それが会計のルールだからです(バランスシート)。それを踏まえて単純に考えると、家計や企業の資産を税として徴収し、それを政府の負債と相殺するわけです。それが「金融資産課税」の基本的な着想です。

そして金融資産税を主として負担するのは、非常に高額な資産を持つ人や企業になります。応分の負担が成り立ちます。

しかし、「資産」に課税するのではなく、消費税に課税することで政府の負債を相殺する場合、その負担は保有している資産額に無関係にかかるため、低・中所得者の税負担も資産家の税負担も似たような事になります。その結果、時間と共に、低・中所得者の貯蓄はほどんど消え、資産家の貯蓄だけはほとんど減らずに残る事になるでしょう。さて、これは応分の負担でしょうか?

すなわち、中・低所得者の貯蓄と政府の負債が相殺されることで「めでたし、めでたし」となる、そう思うのです。

そもそも、バブル崩壊後の失われた15年の間、日銀が金融緩和を渋る一方、景気回復はもっぱら公共投資に頼らざるを得ませんでした。しかし、政府が膨大に発行した国債によって調達したおカネはどこへ行ったのか?本来は市場を循環して景気を回復するはずだったおカネは、バブルの後遺症つまり大銀行の不良債権の相殺、建設業や大企業の負債の相殺に消えたはずです(バランスシート不況)。そして、さらに増えたおカネは、使われることなく、一部の資産家や企業の内部留保として貯め込まれたのです。

国民はそんな事ために国債を発行してくれと頼んだ覚えはない。
ところが、その国債を相殺するために、中・低所得者の貯蓄を奪おうとしています。それが消費税の本当の姿だと思います。

麻生政権の頃、麻生首相が一瞬だけ「金融資産課税」に触れたことがありましたが、すぐに引っ込めてしまいました。なぜかといえば、そんなことを主張すると命にかかわるからでしょう。この記事も危険かも知れませんね。くわばら。