2014年9月11日木曜日

インフレ時代の年金制度は賦課方式で

年金方式には「積み立て方式(若いうちに自分が積み立てたおカネを老後に受け取る)」と「賦課方式(現在の労働年齢層からおカネを集めて高齢者に分配する)」があります。

ところで、インフレになると、とりわけインフレ率が高くなると、貯めたおカネの価値が相対的に低下するため、高齢者の方々は不安に思われるかも知れません。積立方式の年金の場合はインフレを心配する人が増えるでしょう。このような制度だと、インフレに反対する世論が増え、インフレターゲットや金融緩和に反対する人も増えるかも知れません。

しかし積立方式が優れているかと言えば、欠点も多いでしょう。運用に失敗するリスクもあります。おまけに、多くの人が年金のためにおカネを使わず貯め込めば、経済を停滞させる事にもなります。運用のためにファンドが組まれ、世界的に投機に走るリスクもあります。「カネさえ増やせば良い」という姿勢になりがちです。

ですから、賦課方式の方が良いと思います。賦課方式の場合、労働年齢層の所得に税金をかけて財源とし、年金を支給するわけです。するとインフレになればその率に応じて税収も自然に増加することが間違いないからです(インフレとは循環通貨量が増大する事なので、それに課税すれば税率が同じでも税収は増大する)。つまり支給額が物価スライドになります。

賦課方式において重要なのは、「カネを増やす事」ではなく、「経済を健全に維持拡大し続ける事」であり、その健全な経済の「生産力」を用いて高齢者の扶養を実現するものです。

年金の制度は、カネの力ではなく、モノを生み出す力に頼る制度が自然だと思います。