2014年12月27日土曜日

資本主義の本質はデフレ圧力と金利

資本主義の本質はデフレ圧力と金利であると考えています。それは、資本主義のメカニズムの基本が「貯蓄と投資」にあるからです。

多くの人々が貯蓄しますが、貯蓄が増えると消費が減ってデフレに陥ります。おカネが回らなくなるからです。人々がおカネを使わないことはデフレ圧力になります。資本主義では「貯蓄に課税することはタブー」とされますので、貯蓄に課税する国はありません。そのため、おカネに余裕のある人々はためらうことなくどんどん貯蓄します。ですから、貯蓄は増える一方になります。

一方、デフレになるとデフレギャップ(=失業者)を生じ、生産余力が発生します。この生産余力を利用して新たな産業を興すのが「投資」になります。ですから、デフレ脱却のために、最近さかんに「投資を刺激する」と騒ぎます。

つまり現象を整理してみると、貯蓄により失業者を発生させ、その失業者を利用して別の産業を興すというメカニズムになります。これが資本主義の基本メカニズムであると思われます。

では、インフレがなぜ生じるのか?それは、銀行の信用創造による通貨膨張により、おカネが増殖するためです。その結果、貯蓄された金額をはるかに上回る量の通貨が市場に供給されるからだと思います。この場合、失業者による生産余力を上回って投資が行われるため、賃金が上昇し、購買力の総量が生産力を上回るため物価が上昇します。

しかし、貯蓄により失業者を生み出しても、投資が行われるとは限りません。一方で、貯蓄は着実に増え続けます。デフレ下で日本の個人金融資産や企業の内部留保が増加し続けたことがそれを証明しています。従って、投資が行われなくなると、資本主義では失業者が止め処なく増加し続けます。これが最悪の状態になったものが「世界恐慌」でしょう。世界恐慌とは「ハイパーデフレ」ですから。

では、投資が行われるためには何が必要かというと「金利」です。カネがカネを生むことが投資の動機となります。従って、カネがカネを生まなくなった時、デフレが始まります。そして、実体経済に投資することによってカネでカネを生むことが難しくなった今日、カネがカネを生む唯一の投資先である「マネーゲーム」へと投資が殺到します。それが株式市場・為替市場・先物市場に活況をもたらします。バブルの再燃です。

つまり、金利というインセンティブで実体経済に投資を促すこと、つまり資本主義の行動原理はすでに現実的でなくなりつつあります。