2015年1月27日火曜日

ピケティ現象 火消しに躍起な新聞

財政再建を錦の御旗にして消費税増税を振りかざすあの新聞社が、なんとピケティの主張する「資産課税」には反対らしい。おかしいですね~、資産課税すれば「財政再建まちがいなし」なのにね。

その新聞の社説によれば、資産課税すると「経済成長を鈍化させる」そうだ。は?では消費税の増税は成長を鈍化させないのかね?平成24年4月の増税は、あんなものはたいした影響はなかったというのですね。

同じ増税なのに、「消費税は良い増税」「資産課税は悪い増税」だそうです。そういえばどこかで聞いたような。「中国の軍拡は良い軍拡」「日本の軍拡は悪い軍拡」。そういえば、中国では核兵器さえ良い核兵器になるらしい。

新聞は「格差拡大の論理的な説明ができるのか」と問う。しかし、経済学ではほとんどの論理は仮説に過ぎない。「経済発展とともに格差が縮小する」という現在主流という話も、仮説に過ぎない。証明されたわけでは無いのだ。その説の発端も、たしか「過去のデータ分析」だったはず。そして自然科学において、データ解析から帰納的に関数を導くのはごく一般的だ。説明だけなら、おそらく今後どんどん出てくるだろう。

現在主流のマネタリズムも、仮説に過ぎないのだが、そっちはOKなのか?マネタリズムは良い仮説、ピケティは悪い仮説。

学説とは、主流争いのような面があり、仮に仮説であっても、多くの人が支持すれば、それが真実であると一般に認識されるようになる。それが経済学の歴史ではないのか。

特に偏向が酷い部分を引用してみる。

曰く「成長の恩恵を受ける富裕層と、取り残される低・中間所得層という単純な図式を掲げ、ばらまき政策を唱えるのは無責任だ。」

ここを、別の立場から書き換えてみましょう。

「成長の恩恵を受ける富裕層と、取り残される低・中間所得層にわかり易く階層化することで、富の再分配の必要性を証明してみせた功績は大きい。」

さて、極め付きの部分がこれだ。
「教育や職業訓練など、努力すれば所得を向上できる機会を広げる政策こそ、力を注ぐべきである。」

一見それっぽく聞こえるところが味噌だ。だが、ピケティの提起した問題は、パイの大きさが一定の中での分配を論じているのであり、分配比率の問題だ。教育や職業訓練で分配比率の問題が解決するという着想は、新聞がミクロもマクロも区別できないレベルにある事を如実に証明していると思う。

パイが限られていれば、もし誰かが教育や職業訓練で分配比率を増やしたとすれば、かわりに別の誰かが分配比率を落とすだけに過ぎない。ポスト争いで分配の問題は解決しないからだ。