2015年1月4日日曜日

NHK番組「ネクストワールド」の評価は平均点

NHKで「ネクストワールド」とかいう番組を見たんですが、誠に失礼ながら「踏み込み不足」と言うのが正直な感想でした。もちろん、映像的には素晴らしかったし、シナリオもお笑いたっぷりで面白かったです。暇つぶしにはもってこいだと思いますが、内容が表面的すぎました。

モチーフは人工知能でした。人工知能の機能に関するおおまかな説明と、ややオーバーに表現された、ユーモラスな未来社会の描写がありましたが、人工知能により社会に生じる根本的な問題点については何も触れられていませんでした。

もちろん「未来の雇用に関する予測」みたいな国連?の報告書が「ある」という事を紹介しました。そして、人工知能で人々の雇用が失われる社会を示唆します。人間の能力を超える人工知能が生まれた後、我々は何をすべきか、という問いかけを最大の謎かけにしているようでした。

しかしそれは表面的な問題に過ぎません。

すでに古くから、一部の人々には認識されてきた、非常に大きな問題点にはまったく触れられていないのです。つまり現在の経済システムにおいて、生産の効率化と省力化は労働市場の崩壊を招き、通貨循環を麻痺させて、経済システムを破綻させかねない、という決定的な問題です。これは現在の経済システムに大きな修正を迫る事になるはずなのです。

簡単に言えば、人類の労働を軽減し、豊かな社会を築くはずの技術文明が、人々の雇用を奪い、むしろ貧困と格差を助長する可能性があるという、その背景には、そうならざるを得ない現代経済システムの基本的な仕組みに問題があるのです。

そして一番心配しているのは、その不都合な事実を隠すため、どのようなウソで塗り固めるのか、既得権益集団が行うだろう隠ぺい工作こそ、最も恐れています。マスコミがその一翼を担うからです。

自分は人工知能など何も心配していませんし、むしろワクワクしますね。こいつを、自分の仮説を立証するためにどう利用しようかって。世界の情報を瞬時に集めて処理できるなら、いま苦労して情報を収集している手間がなくなり、思考に費やす時間を増やすことが可能になるからです。

ビジネスマッチング(B2B)は、より容易かつ的確となり、また小売(B2C)も最適化され、生産はオンデマンド、ロジスティクスはさらに進化するでしょう。そうすれば、人々の労働時間は短縮され、余暇も所得も増える「はず」なのです、本来は。

ちなみに、人工知能には限界があると考えています。残念ながら、人工知能は人間の思考(意識)をシミュレーションしたメカニズムに過ぎないでしょうから、無意識の領域にまで踏み込むことはできません。人間は、意識だけで思考するわけではありませんから。