2015年2月27日金曜日

トップ1%との所得格差は3倍だが、金融資産格差は25倍ある

ピケティ氏の著作で日本でも格差に対する関心が高まっています。そこでマスコミからは「日本の格差は大きい」「いや、小さい」などと評価が入り乱れています。

そんな中で、日本は格差が小さいとする記事がYahooに出ていました。それによると、日本の所得トップ1%は1300万円以上であり、アメリカの1億円と比べて低いから格差は小さいとの話です。それを見たネットユーザーがさかんに「それみたことか、日本は格差が少ない」と書き込んでいたようです。

この日本のネットユーザーは所得トップ1%の人々とは思えないのですが、彼らは左派に対するアレルギーが強く、ピケティ氏を左派と見て「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の要領で、ピケティ氏に食い付いているようです。イデオロギーの左右とは無関係な自分には理解不能です。

それはそうと、格差問題の根幹は「所得」じゃなくて「資産」なんですが、またまた話がすり替って「所得格差」の問題になっているようです。なぜピケティ氏が「資産への課税」を言い出したのか、まるきり理解していないようです。それとも意図的なのかも知れません。なぜなら、驚くべきことに、所得トップ1%の話は出てきますが、資産トップ1%の話は「まったく」出てこないからです。そして格差の問題は常に資産ではなく所得の話になっています。

しかし、所得格差よりも資産格差のほうが大きいのです。所得格差の話をすると格差は小さく感じられます。逆に資産格差の話をすれば、格差を実感できると思います。

ちなみにネットで検索しても資産トップ1%の資産額がいくら以上なのか数値が出てきません。そこで推測してみました。ニュース記事などから、金融資産1億円以上を保有する人が100万人を超えているらしいですから、トップ1%は最低でも金融資産として1億円以上ですね。しかし不動産は含まれません。次に全国消費実態調査のデータを見ると、住宅宅地を有する世帯(トップ約2%)の不動産資産が平均約2億円でした。ですから、総資産で日本の資産トップ1%の資産は2~3億円以上ではないかと推測します。

では、格差はどれくらいか?不動産資産のデータがほとんど無いため、金融資産で比較します。

家計の金融資産の中央値は約400万円(家計の金融行動に関する世論調査)ですから、トップ1%の1億円以上とは金融資産の格差は25倍以上あります。ちなみに所得についてはトップ1%が1300万円だとすると、家計の所得の中央値が420万円(国民生活基礎調査)ですから、所得の格差は3倍なのです。

日本のトップ1%との格差
所得格差は3倍だか
金融資産格差は25倍。

さて、あなたはどっちの数字を重視する?