2015年2月23日月曜日

「高齢者も働け」と言うが、簡単ではない

65歳までの雇用を企業に義務付けるとか、高齢者でも働けとかの話がしばしばマスコミに取り上げられます。もちろん、その本音は「年金を払うだけの財源がないから働け」というものでしょう。あまりに短絡的なのであきれますが、それにしても「高齢者も働け」と言うのは簡単ですが、実際には簡単ではないと思います。

そもそも、現在、どんな人手が不足しているのか?それは、
①建設業
②飲食サービス業
③介護サービス業

ですよ。この分野は「体力勝負」なので高齢者が活躍するのは難しい。しかし、それ以外の分野の求人倍率はまだまだ低いんです。となれば、わざわざ高齢者を受け入れるなどあり得ませんね。年金の支給額を減らしたいから高齢者でも働けというのは、役人が考えるほど簡単ではありません。工夫が必要です。

第一に、建設業、介護サービスの分野に高齢者を受け入れるためには、機械化により筋力を酷使しなくても仕事できるようなシステムの導入が不可欠です。そういう資本装備があって初めてその分野に高齢者が参加できます。

第二に、建設業、介護サービスの分野における処遇(給与)をかなり改善する必要があります。もしこれら人手不足の職種の給与が他の業種よりも高くなれば、若者がそちらへ流れる可能性があります。もしそうなれば、事務系や営業系のような高齢者でも活躍できる分野の人手が不足して、高齢者の就職が促進されます。

ただし、このような仕組みは「市場原理まかせ」では実現が難しく、政府が経済システムの改革を主導しなければ難しいと思います。こうした部分まで考えて「高齢者も働け」というのでなければ、単に絵に描いた餅になってしまうと思います。