2015年2月4日水曜日

富裕層の資産の裏付けは膨大な負債

おカネによって営まれる経済活動の結果はすべて貸借対照表(BL)で表現され、それにより資産と負債をすべて把握できることは自明です。それは個々の企業や家計だけでなく、国家全体を表現することが可能です。そのうち、金融資産に関していえば、日銀の資金循環統計などが例としてあります。

そのことから明確に言えることは、すべての資産(金融資産)は負債によって成り立っているということです。つまり、現代の経済システムでは、これが大原則です。ですから、富裕層が膨大な資産を貯め込んでいるという事は、逆に、誰かが膨大な負債、つまり借金を抱えている事を意味します。これが資産万能論の最大の問題です。

世界の資産が増えれば増えるほど、世界の借金も同じだけ増える。これが資本主義の根幹であるBLのメカニズムであり、最大のリスクです。

世界の資産が実体経済の規模をはるかに超えて膨らみ続けた場合、必ず世界の借金も天文学的に増えるづけることになります。そして、もし、はち切れんばかりに資産と負債が膨張した時、金利が上昇するとどうなるのか?考えたくもありませんね。

そして、富裕層の資産が膨らみ続けるということは、誰かが負う借金もまた膨らみ続ける事を意味します。では、その借金を誰が背負っているのか?各国政府の財政は慢性的に赤字であり、そのことは、富裕層の資産は政府の債務によって成り立っていることがわかります。

もし、財政再建と称して政府の負債を減らし、しかも相変わらず富裕層の資産が増え続けるとしたら、はたして誰が富裕層のために借金を背負うことになるのか?

格差拡大は単なる格差拡大ではなく、その背後には無限に膨らみ続ける「借金の山」がある事も忘れてはいけないと思います。これも格差問題にすべきだと思います。