2015年3月30日月曜日

「自己責任」という言葉の都合良さ

「自己責任」という言葉を好む人がいるようですが、困ったことに何に対しても「それは自己責任だ」と言い放てば結論を出したような気分にしてくれるようです。しかしこの自己責任という言葉は、かなりご都合主義的です。

多くの物事の原因には必ずその対象者の行動と、周りの環境という二つの要因が関係しています。ですから、どんな物事も「それは自己責任だ」と言おうと思えば言えるのです。つまりすべての物事に対して使えるなら、原因を区別する用語としては不適切であることを意味します。

たとえば、ある人が道路を横断して車にはねられたら、それも「自己責任」だと言えます。道路を渡ったから事故に遭ったんだから、道路を渡った人の責任だ、といえば、確かに責任がないとは言えません。しかしすべての責任がその人にあるわけではない。ですが「自己責任」と言い放てば、その本人以外の責任はまるで「無罪放免」になるわけです。非常に身勝手な言葉です。

ですから、自己責任もあれば、環境にも問題があり、その両方をしっかり考慮して問題の再発防止に努めるのが論理的に正しいアプローチ方法のはずです。「自己責任」と言い放てば、それ以外を改革改善する必要はないと言い放っているわけです。それでは問題は繰り返し発生すると思われます。