2015年7月18日土曜日

集団的自衛権の対案は中国との軍縮条約

ハッキリ言えば中国の軍拡と領土的野心むき出しの行動が無ければ、日本にとって集団的自衛権は必要ないし、早急な安保法制の改定も必要ないでしょう。ですから問題の解決の方法は以下のように2通りあるわけです。

①日本が軍事的に強くなる
②中国の軍備削減を実現

これ以外にはありません。外交的な「不可侵条約」のような手法もあるように思うかも知れませんが、そんな条約など役に立ちません。日ソ不可侵条約をソビエトが一方的に破棄して日本に攻め込んだのがその証明です。

集団的自衛権は「①日本が軍事的に強くなる」方法の一種です。日本自身がこれ以上の軍備を拡張することなく、外国の軍事力を利用する方法論です。しかし、集団的自衛権を使わなくても、「②中国の軍備削減を実現」ができれば良いわけです。

ですから、集団的自衛権に反対するのであれば、中国の軍拡を止めさせる方法論を提起しなければならないはずです。たとえば民主党や共産党は、中国共産党と会談して、中国の軍縮について交渉するのが当然でしょう。冷戦時代にアメリカとソ連が軍縮条約交渉を行っていましたが、日中で軍縮条約を交渉するのです。もちろん民主党や共産党は政府ではありませんから、条約交渉はできません。しかし軍縮の観点から中国との意見交換をどんどん進め、軍縮に関する同意を引き出すことは、中国側にその気があれば可能です(恐らくまったく無いでしょうが)。

艦船や航空機の数量、兵員数はもちろん、中国の保有する核兵器についても対象とすべきです。このような軍縮交渉に対して、中国がまったく応じないのであれば、それは中国が軍事力を背景として領土を拡張しようとする明白な意図を有することを示します。ある意味で世界に対し「軍縮にまったく応じない強硬な中国」という対外的な負のイメージを与えることができるでしょう。

そして万一(ほぼ不可能ですが)、中国と日本の相互軍縮の話が進めば、民主党や共産党に対する国民の見方も大きく変わるでしょう。それこそ大金星になるわけですから、次期政権も夢ではないかも知れません。

それくらいの行動をしなければ、結局は中国の軍事大国化に対して「何もしない」というだけであり、それがまかり通れば、まるでナチスの軍事拡大と覇権主義を放置して第二次世界大戦を引き起こす結果となったヨーロッパと同じことになるでしょう。