2015年7月22日水曜日

ギリシャ問題 解決策は2種類


ギリシャ問題を解決する方法は大きく二つに分かれると思います。その二つとは、

1)ユーロ圏に留まる
2)ドラクマに戻る

あたりまえですけど。それぞれの場合に具体的にはどんな方向で政策などをすすめていくべきか、考えてみました。

1)ユーロ圏に留まる場合

ユーロという同じ土俵で経済戦争するわけですから、ドイツに匹敵する競争力を持たなければなりません。そのためには社会制度の土俵もドイツに合わせる必要があります。ギリシャ人の価値観の根本的改造が必要です。昼寝などしている場合ではなく、朝から晩までキッチリ働く。通貨発行権が無いのですから、緊縮はあたりまえです。年金支給開始年齢や支給水準も他のユーロ圏に合わせる。公務員はリストラしてドイツなどと同じ人口比にする。それがユーロに留まる方法です。

そして借金は当然ですが返済しなければなりません。債務を返済するには、ユーロ圏に流出した通貨を回収することが必要で(じゃないとギリシャ国民のカネを撒きあげるしかなくなる)、貿易黒字化を目指す必要があります。ユーロのような統一通貨の場合には為替調整機能が働きませんから、早期に貿易競争力を得るためには大幅に賃金を引き下げるしか方法はありません。あるいは観光業の活性化が必要です。もし経常収支の黒字化ができないうえに借金を返済することになれば、ギリシャはますます貧困化します。

ユーロ圏に留まるのであればギリシャには大改造が必要です。そうしなければ、ギリシャは二度と立ち上がることはできないでしょう。それを怠れば、確実に再度破綻します。緊縮に反対だがユーロ圏に留まる、などユーロのシステムとして不可能です。

2)ドラクマに戻る

一時的に通貨暴落で大混乱になりますが、市場メカニズムの調整が終ると落ち着きます。その段階で国民全体として貧困化しますが、それは反動として受け入れる必要があります。しかしその後は、アルゼンチンやロシア、韓国の例をみても順調に回復軌道に乗る可能性があります。為替差は事実上の関税障壁のようになって、ギリシャの産業を保護します。為替差は実質的な賃下げとなり、ギリシャ産業の競争力を高めます。

ドラクマに戻せば、ユーロとは別の土俵で戦いますから、ドイツに合わせる必要はありません。ギリシャ人はギリシャ人のまま生きてゆけます。昼寝もできます。ただし、「物質的な豊かさ」はそれに見合ったものになるでしょう。輸入品に頼れませんから、自分たちで生産しなければなりません。緊縮もしなくて大丈夫です、ただし産業(供給サイド)を育成しないとインフレに悩まされます。

借金は返済しなければなりませんが、ドラクマ建ての国債との交換も選択肢として使えるようになりますし、ドラクマを刷っての返済も可能になります(どこまで債権者が応じるかは別だが)。

最低でも、この程度のことをギリシャ人は理解する必要があるでしょう。しかし恐らく、ほとんどのギリシャ人は知らないと思います。それではギリシャはいつまでたっても不毛です。

ギリシャのマスコミはまるで役立たずなんですね。日本も同じですが。マスコミによる愚民化が世界における最大のリスクだと思います。