2015年8月15日土曜日

日本の戦争から学ぶべきは中国

安倍首相によって発表された戦後70年談話に対する中韓の反応はまったくの予想通りでした。中韓の反応はすべてプロパガンダですから、どのような内容であったとしても最初から批判するつもりだったのです。中韓の反応は無視して、それ以外の欧米およびアジアの評価が好評であれば全く問題ないでしょう。

ところで、日本が行った戦争から何を学ぶべきか。一般には日本が反省して日本が学ぶべきと考えているようですが、そうではありません。日本の戦争から世界が学ぶべきです。それどころか、中国こそが日本の戦争から学ばねばならない。それは被侵略者が侵略者にいつでも立場が変わるという危険性を学ぶべきだという点からです。

日本に黒船が来航した当時、周辺のアジア諸国はことごとく欧米列強によって植民地支配されており、開国後も日本は列強によって不平等条約を締結させられ、国家的な危機が迫っていたわけです。いわば被侵略者の立場です。軍事力による外交が常識だった時代において、欧米列強による侵略から日本を守る方法は軍事力しかあり得なかったのは当然です。軍事的に強ければアジアが植民地化されることはなかったはずです。

ですから日本が明治維新以後に軍事力を強化し、軍事大国化の道を歩んだことは、日本が独立を守りきることのできた一つの勝因であったことは間違いありません。江戸時代のままならどうなっていたか。香港やマカオのように長崎や横浜などを占領され、やがて列強の勢力争いによって内乱が勃発して国家として維持できない状況に陥っていたかも知れません。

軍事力を強大化することによって、不平等条約を解消し、欧米からの直接的な侵略の脅威が消えたのち、日本は外国への侵略・干渉の道を歩み始めることになるわけです。つまり、被侵略者だった立場から、一転して侵略者の立場に変わりました。もちろん当時の欧米列強は自国の国益のために外国へ侵略・干渉し、植民地を拡大し続けていたわけです。それが当時の国際常識ですから、日本も国益のために欧米列強を手本としたのはある意味当然です。その意味において侵略者となった当時の日本の判断には罪は無いのです。

しかし、今日的な価値観から言えば、こうした判断が最終的には破滅的な戦争へと帰結していったわけですから、二度とこのような侵略・干渉の道を選ばないことが、日本の戦争から学ぶべきことです。それは日本だけではなく、日本の手本となった欧米や世界が学ぶべきことであるはずです。

重要な点は、被侵略者はいつでも侵略者に変わる危険性があることです。日本は被侵略者でした。しかし軍事大国化によって侵略者に立場が180度転換してしまいました。つまり、そんなことはいつでも簡単に起こり得るのです。

つまり、被侵略者の立場を取りながら、国を守るためと称して軍事大国化し、やがて外国への侵略・干渉を開始した昔の日本と、まったく同じような道を歩み始めたのが中国です。南シナ海全域を支配しようとする動きこそ、まさにその始まりである。

日本の歴史から学ぶべきは日本だけでない。
中国こそ、日本の戦争の歴史から学ぶべきだ。