2016年1月25日月曜日

米国は中国の覇権を容認するのか

過去、米国は米国以外の国の覇権を認めなかった。太平洋戦争では日本を完膚なきまで叩き潰し、その後も日本の覇権は絶対に認めなかった。たとえば通貨でも日本単独によるアジア開発銀行の構想は米国によって潰されている。その米国が中国の覇権は許すというのだろうか?

日本の保守派の主張には、中国と米国が裏でつながっているという説もある。もしそうなら、日本の場合とは異なり中国に限ってはその覇権を認めるというシナリオもあり得る。だが、中国の覇権を認めることで米国にどんなメリットがあるのだろうか、なぜ日本の覇権は認めず、中国の覇権は認めるのだろうか。

第二次世界大戦で大英帝国の覇権が終り、米国が新たな覇権国家となった。その交代の際に、金融の覇権の中心地も英国から米国に移った。世界が実質的にマネーに支配されているのは「公然の秘密」だ。覇権国家アメリカのドルが世界貿易の基軸通貨となり、マネーは米国を利用して世界を支配した。同様に、もし金融の中心を中国に移すことでマネーが世界支配を強化できるのなら、マネーは中国による覇権を許すかも知れません。しかし、米国に代わるだけの要素が中国にあるとは思えません。

米国は第二次世界大戦後に登場した、新たな覇権国家ソビエトを許さず、冷戦となりましたが、直接の戦争を経ずして最終的にソビエトは崩壊し、米国は勝利した。ゆえに、もし米中対立が激化したとしても、必ずしも戦争になるとは限らない。

米ソ冷戦は米国の軍需産業に莫大な富をもたらしました。もちろんマネーにも。彼らの利益にとって正面戦争は損害も大きく、むしろ冷戦のような状況を望んでいるのかも知れません。とすれば、中国と米国が新たな冷戦構造の二極として期待されているのであり、均衡状態を作り出す目的で、ソビエトと同じ程度の覇権を中国に許す可能性は十分にあると思うのです。

では、アメリカが日本を相手にした冷戦を想定することはあり得ないのだろうか。恐らくそれは無いと思われます。

その理由の一つは冷戦の相手が広い領土を持つ大国でなければつり合いが保てない、要するに「格好が付かない」という点でしょう。米国より遥かに小さく、資源も何もない島国の日本と冷戦です、というのは、下手すると「弱い者いじめ」にしか見えないw。

また、中国は共産党一党独裁政権の非民主国家であり、役人は腐敗し、言論の自由もなく人権弾圧もあり、ウィグルやチベットなどでも問題が存在します。つまり中国は「悪者」としての要素を兼ね備えているのです。日本を悪者にするのはかなり難しい。下手をすると逆に米国が悪者にされかねないw。

「世界の巨大な悪と戦う正義のアメリカ」

このイメージこそが冷戦にとって最重要であり、日本は残念ながら(?)役不足でしょう。