2016年2月24日水曜日

そもそも日銀の出口戦略は必要か?

日本経済がデフレを脱却する見通しがまったく立たない状況であるにも関わらず、一部のマスコミや識者から「日銀の出口戦略ガー」という話が出てくる。しかし、そもそも出口戦略なる考え方が必要なのでしょうか?

金融緩和が入口なら、その逆が出口というわけで、つまり日銀が金融緩和のために民間銀行から買い取った膨大な国債を逆に銀行へ売るというわけだ。しかし、そんなの絶対に不可能でしょう。なぜなら、景気が良くなると銀行は国債を欲しがらなくなるからです。銀行だけじゃなく、景気が良くなって金利が上昇すれば、低利の国債を買い戻すなんて誰もしませんよ。

だから日銀は買い取った国債を最終的に償還まで保有することになるはずです。だから出口戦略などない。強いて言えば、「国債を償還まで保有すること」が出口戦略です。償還まで保有しても、政府が借り換え国債を発行して差し替えればOK。

ただし、日銀が量的緩和の際に、国債を額面より高い金額で買い取っていたならば、償還の際に資産に損失が生じる可能性はあります。100万円の国債を120万円で買い取り、償還時に100万円しか受け取れなければ20万円の損となる。BS上で資産が20万円減ります。だから、その穴埋めをどうするか、という批判が出るのは容易に想像できるんですね。

しかし、だからどうだというのでしょうか。元FRB議長バーナンキよろしく「ケチャップ」を資産として組み込んでも帳簿上はきちんと成立するのです。しかも誰も損しません。もちろん、それは「中央銀行のBSだから」です。もし普通の会社であれば、それをすると株主資本が棄損する。つまり株主資本がケチャップになってしまうわけだw。だから普通の会社ではそれができないんです。

しかし日本銀行の場合は日本政府の銀行だから政府が損しても誰も困らない。政府の損は国民の損かと言えばそうでもない。なぜなら、日銀の資産はもともと国民の資産とは関係ないし、そもそも国民が使えるものでもない。たとえば日銀が保有している金塊は誰も使えない。その金塊と同じようにケチャップが日銀に保管されるという話であって、使えないのだから国民にとって金塊でもケチャップでも事実上は同じ関係にあるんですね。

ちょっと話が難しいですが、要するに日銀の損得は国民とまったく無関係なんです。それをあたかも関係あるかのごとく主張する識者がいるとすれば、相当な嘘つきなので気を付けた方が良いでしょうね。