2016年2月27日土曜日

税制改革によってケインズ派は復活できる

世界的な需要不足の流れを受けて、IMFやOECDが先進各国へ財政支出を促す発言をしています。財政出動による景気対策を主張するケインズ派の人たちにとってみると追い風の状況ですが、財務省など財政再建論者が必死にそれを封じ込めようとしているようです。債務拡大による経済モデルは限界だというのです。ゆえに一般にケインズ派は限界と思われています。

しかし、なぜ以前は機能していたケインズ的な財政出動が機能不全に陥っているのでしょうか。いわゆる識者の多くは何も語りませんが、それはおカネの流れを考えると簡単に理解できます。

経済成長期の社会において不況になった場合、政府が国債を発行して通貨を調達し、財政出動を行ないます。たとえば公共工事を行うと、そのおカネは国民の総所得を押し上げて、民間消費を押し上げるます。これにより不況で低下していた生産設備の稼働率が上昇して失業を解消すると同時に、財の生産量を増大させます。この場合、財政出動したおカネは消費へ向かい、やがて消費と生産の循環通貨(フロー)を増大させます。所得税や法人税など主たる税収のほとんどはフローへの課税です。ゆえに、フローが増大すれば税収が増加し、この税収によって国債を返済できるのです。これが理想的なケインズ派のおカネの流れです。

長期停滞経済の社会において不況になった場合も、政府が財政出動を行ないます。たとえば公共工事を行うと、そのおカネは国民の総所得を押し上げますが、そのおカネは消費ではなく貯蓄(ストック)に向かいます。ゆえに、家計の資産が1600兆円になり、企業の資産が950兆円になる。つまり政府が借金して調達したおカネが家計と企業の貯蓄(ストック)に消えるのです。すると消費と生産の循環は増えず、フローへ課税する税制であるが故に、税収も増えることはありません。そのため国債の返済は不能となり、財政支出は行き詰まるのです。

となれば、解決方法はすぐにひらめくと思います。フローへ課税するのではなくストックへ課税すれば良いのです。経済成長期の税制はフローへ課税することが正解でした。インフレを防ぐ意味でも有効でした。しかし経済状況は大きく変化し、長期停滞経済になりました。ならば税制を変更することはむしろ当然ではないでしょうか。

現代では、財政支出で増えるのはフローではなくストックです。ストックに課税すれば税収が増大し、これによって政府が継続的に財政支出を行う事が可能になります。