2016年3月29日火曜日

中国のバブル処理が難しい理由

アメリカはサブプライムローン・バブル崩壊後の金融危機に対して、バーナンキ議長の判断による前代未聞の大規模な現金の発行によって流動性を確保しつつ乗り切ったわけです。中国のバブルが崩壊する際にも、おそらく大規模な現金発行が行われると思います。しかしアメリカと違って中国の場合は非常に大きな問題を抱えています。それが構造問題です。

アメリカは消費社会なので、民間消費のための供給能力が発達しています。バブルが崩壊すると、この供給力が機能しなくなるので、現金を発行して回してやれば良いだけです。しかし、中国は公共投資や輸出産業、あるいは軍事産業(日本の3倍以上)が主です。経済が消費中心(つまり中国の人民の生活向上のための経済)で回復するためには、民間消費の供給力を確立しなければなりません。

おまけに、民間消費の供給力を整えても、現在の中国のように、ほとんどの国民が貧しい状態では消費などできません。人民の所得格差を少なくし、もっと平等な社会を実現する必要があります。しかし、共産党幹部や都市部の金持ちに富が集中する体制を変えることは、相当に困難かも知れません。なぜなら「一党独裁」だからです。民衆の意見が政治に反映されない。

そして、極めて膨大な軍事費は、明らかに無駄です。旧ソビエトと同じです。そして、中国にそんな軍事力が必要なのでしょうか。あれだけのおカネがあれば、どれだけの中国の貧民が救われるでしょうか。しかし中国共産党は、今後も軍事費を増やし続けるでしょう。

そんなわけで、中国のバブル崩壊の影響は長期化が避けられないと思います。まず何より人民の生活水準を引き上げることが重要であり、そのためには、中国の民主化にって、人々の意志を政治に反映させる仕組みが必要だと思われます。