2016年5月14日土曜日

未来社会における仕事のインセンティブ

未来社会ではロボットや人工知能の進化により、一般大衆の労働者の仕事はほとんど無くなると予想されます。そうなると財は人間の労働なしに、潤沢に生産されるようになりますから、これを人々に分配することで、労働せずに生活できるようになります。オンデマンド供給が実現すればこの分配は必ずしも市場を媒介する必要はないと言えます。この時点で通貨と市場の役割は消滅します。ついに神の手は死んだw。

しかし、どれほど高度な生産の自動化によっても、すべての人に分配することができない財があります。それが希少資源を用いて作られる財です。たとえば貴金属や宝石のようなものは、そもそも資源量に限りがあるため、すべての人に分配することは不可能です。また不動産のような土地・豪邸も特殊な財です。これをここでは「希少財」と呼ぶことにします。

次に、仕事に関して言えば、生産に関わる無味乾燥な単純労働はすべて消滅しますが、自動生産システムの維持管理、あるいは新たな製品を開発する研究開発といった仕事がなくなることは決してないと考えられます。つまり、仕事の量は極端に少なくなるものの、必ず残るはずです。

つまり、そうした仕事をする人が必ず必要となるのであり、そうした人々のインセンティブとして「希少財」を与えることは十分に機能的と考えられます。もちろん、ボランティアつまり人々の善意によってシステムが維持されることも良いのですが、報酬として「希少財」があれば、システムとしてより機能的かも知れません。

この点において、未来社会においても「格差」が生まれるわけですが、このような格差はむしろ望ましい格差であって、現代社会におけるそれとは本質的にちがうものです。現代の格差は主に資本によって生まれますが、未来の格差は他の人々への貢献度によって生じるわけです。妥当性のある格差だと思います。