2016年5月17日火曜日

政府通貨と国債発行は、ほぼ同じ

国債はこれ以上発行できないと大騒ぎしている。だったら政府通貨として現金を発行すれば良いだけの話です。どちらも同じ「通貨発行」なのです。

しかし、国債の発行を通貨の発行だと簡単にはわかりません。しかし民間銀行のバランスシートを検討すればすぐにわかります。どちらも同額の預金(つまり信用通貨)が発生するからです。

①国債が発行されて財政支出されると、銀行の帳簿上でそれに見合うだけの「預金」が発生します。この預金とは現金と同等の扱いであるため、事実上、国債の発行によって通貨が発行されたことになります。しかし、一般の人には理解できないでしょう。そこをマスコミや財務省などが巧みに利用します。

②政府通貨として日銀が10兆円の現金を発行し、それを財政支出した場合も同じことが生じます。つまりそのぶんだけ民間銀行の帳簿上で「預金」が発生します。まったく同じなのです。(厳密にはマネタリーベース上での差はあるが、民間非金融部門にとってはこの違いに意味はない)。

では、何が違うのか?

①国債の場合はたとえば10年国債なら、10年後に預金が消えます。
②政府通貨の場合は、預金は消えません。

これも一般の人には理解が難しいです。なぜ国債の場合は10年後に預金が消えるかといえば、国債を償還する際に税金として国民から預金を集め、その預金と相殺で国債を処理するからです。その時点で預金は消えます。つまり、10年後に世の中のおカネの量が減ります。

政府通貨の場合は、返済する必要が無いので預金は消えません。しかし出っ放しでインフレになるのであれば、国債の時と同じように税金として国民から預金を集めることで世の中のおカネの量を減らし、インフレを防止できるのです。つまり、政府通貨と国債発行は、違うように見えて、実はほとんど同じなのです。

しかし、一般の人でこの原理に気が付く人は極めてまれです。
マスコミが絶対に報道しないからです。

(余談)
最も大きな違いは、国債の場合は国債金利を銀行や富裕層に支払う必要があるが、政府通貨の場合はその必要が無い。つまり銀行や富裕層に旨味があるのは「国債」なんですね。だからマスコミは必死に国債の価値を守ろうとするわけ。