2016年5月27日金曜日

消費税の是非ではなく資産課税を検討すべき

財政再建に関して、消費税を上げるか、上げないかという話に終始している。しかしあまりにも話が短絡的だ。消費税は税の一つの例に過ぎない。野党は所得税を上げるべきと主張するが、自民党と似たような枠内で騒いでいるだけだ。なぜなら消費税も法人税も所得税も、世の中をまわるおカネ(フロー)に課税する点では、何の違いもないからです。

一方、ピケティ氏が主張した資産課税、なかでも金融資産への課税となれば、これは貯め込まれているおカネ(ストック)に課税する点で、これまでの税制とは次元が違う新たな発想です。しかも現在の世界が抱える問題は「過剰な貯蓄と投資の不足」です。過剰な貯蓄に課税して、政府が投資を行う事は理にかなうのです。

しかも、現代の信用通貨制度においては、バランスシート上、政府の借金(負債)が、家計や企業の貯蓄(資産)として貯め込まれる形になっている。これが意味することは、貯め込まれているおカネ(ストック)を回収しない限り、政府の借金を返済することは不可能であることを意味します。この点においても、過剰な貯蓄に課税して、財政再建を行う事は理にかなうのです。

自民党と野党の消費税に関する話は、表面的で中身はほとんど感じられない。もっと本質的な議論をおこなわないと、日本の政治は単なる茶番でおわる。