2016年6月3日金曜日

簡単な算数で考えるベーシックインカム

ツイッターを見ていたら、ベーシックインカムについて話が出ていましたが、誰でもわかる程度の簡単な算数で説明するのも効果的ではないかと思いました。


ベーシックインカムを支給すると働かない人が増えるという話がありますが、働かない人が増えるのが問題ではなくて、働かない人が増えた結果として、日本国民の生活水準が低下するとまずいということでしょう。ですから、ベーシックインカムで国民の生活水準が低下しなければ良いわけです。

国民の生活水準は日本がどれだけの財を生産できるか、その生産能力によって決まると考えられます。その生産力を単純な式で表すと、

生産力=人口×就労率×生産性×定数

生産力は人口が多く、働く人の割合が高く、生産性が高いほど大きくなります。そして、この生産力がベーシックインカムの導入前後で減らなければ、国民の生活水準は維持されます。ベーシックインカムで働く人がへると、就労率が減少します。しかし生産性が増加すれば、それを補うことになります。ですから、

就労率の変化率×生産性の変化率=1

であれば、働く人が減っても国民生活は貧しくならないはずです。つまり生産性が向上すれば就労率が低下しても問題ありませんが、あまり急激に就労率が低下すると、生活が貧しくなる可能性はあるでしょう。ですから、個人的にはヘリマネから始めて、徐々に拡大すべきではないかと思います。


また、ベーシックインカムでおカネを分配すると、インフレになるとの話が出ています。これは財源を税収だけなく、通貨発行(ヘリマネ)を併用する場合にあり得ます。この場合、インフレになるとベーシックインカムの収入で生活できなくなるとの声もありましたが、そうではありません。ヘリマネでベーシックインカムを行った場合の単純モデルを考えてみましょう。

ベーシックインカム導入前後で財の生産量は変わらないとします。

財の生産量=200

>>ベーシックインカム導入前

通貨の分配量(給与所得のみ)
A氏 40
B氏 60
C氏 100
(合計通貨量 200)

物価=通貨量÷財の量=200/200=1 物価は1

財の分配量(配分された通貨で財を購入する)
A氏 40
B氏 60
C氏 100
(財の分配合計量 200)

>>ベーシックインカム導入後

通貨の分配量(給与所得+ベーシックインカム1人100)
A氏 140
B氏 160
C氏 200
(合計通貨量 500)

物価=通貨量÷財の量=200/500=2.5 物価は2.5倍になる

財の分配量(配分された通貨で財を購入する)
A氏 56 (通貨量÷物価=140/2.5=56 以下同じ)
B氏 64
C氏 80
(財の分配合計 200)

以上より、物価は2.5倍に上昇しても、通貨がきちんと分配されれば財はそれに応じて分配されますから、国民が貧しくなることはありません。むしろ、格差が縮小し、物価上昇しても低所得者は豊かになります。