2016年6月26日日曜日

EUの崩壊を防ぐには緊縮を止めるべき

英国のEU離脱が決まったが、人々が不満を抱えているのは英国だけではない。EUの屋台骨であるフランスはもちろん、イタリア、スペイン、ギリシャなどでも不満は高まっているらしい。そしてイタリアではユーロに懐疑的な党派のローマ市長が選出されるなど、その不満は政治に影響を及ぼしつつある。

英国の離脱を受けて、これから開始される英国の離脱交渉に対して、他のEU加盟国の離脱を押さえるため、EUが意図的に英国に厳しい対応~事実上の制裁を意味する~を取るのではないかとの予測もある。しかし、もし本当にそのようなことが行われるとすれば、トンデモナイ事態だ。抜けたらどうなるか「見せしめにする」ということを意味するだからだ。

EUが「鞭で統制を図る」のであれば、ファシズムのようなものだ。もし、EUが本当に崩壊を防ぎたいのであれば、EUが人々を幸福にしていないという現実を真摯に反省し、改革を行う必要があるはずだ。EU域内の国々の失業を早期に改善し、生活水準を高めなければならない。そのために必要な生産力を欧州はすでに十分に持っているはずだ。そうであれば、あとは如何にして「おカネを回すか」だ。

となると最大の問題となるのが「財政均衡主義」だろう。なかでもドイツは財政均衡に固執しており、これがECB(欧州中央銀行)にも影響を及ぼしている。EUの中でもユーロ圏に加盟する国々は、通貨発行権を喪失しており、通貨供給はECBに独占された状態にある。各国の経済状況が異なるなかで、ドイツの思案で通貨供給がコントロールされるのは問題があると言えるだろう。

こんなことを続ければ、EU域内の人々の不満はさらに高まり、ヨーロッパの分断がますます現実のものになるに違いない。それを鞭でしばいて統制するのか、あるいは思い切った財政政策や金融政策でEU経済を活性化し、人々への富の分配をすすめるのか。

いずれにしろ、「カネを握っている連中」によって、EUの今後の運命が決められることは間違いないでしょう。