2016年7月1日金曜日

高まる脱グローバル政党の重要性

英国のEU離脱、イタリアでのEU離脱派市長の誕生、そしてアメリカでのトランプ・サンダース両氏の台頭。こうした動きは世界中の政治家が押し進めてきた「グローバリズム」に対する疑念と反発によって生じています。それを何ら顧みることなく、グローバリズムをこのまま推進し続ける限り、世界の格差は広がり、失業や貧困は解消されず、こうした流れは、ますます拡大を続けると思われます。

こうしたなか、一部の過激な人々が、移民や外国人に対するヘイト行動を起こしています。なぜこれが問題なのか。一つは、こうした過激な人々の行動がエスカレートして、直接的に人々に危害を加えたり、テロを引き起こしたりする可能性があることです。社会における犯罪は軽いものから始まってエスカレートする性質があります。最大のリスクは、ドイツのナチスのような、他国への軍事的な攻撃を正当化する集団が国民の過半数を占めるような事態になることです。

さすがにそれはあり得ない、と多くの人は考えているでしょう。しかし、ある地域で軽犯罪を放置するとやがて凶悪犯罪が増加するように、暴力的な行動を放置すれば、必ずエスカレートしてきます。

とはいえ、人々に不満があるからこそ、こうした行動が引き起こされるのであり、単にそれらの行動に蓋をするだけでは、別のところに噴出する可能性も否定できないでしょう。不満を受け止め、それを解消するケアが必要です。

ところが、現在の主流派の政党にそんな政党があるでしょうか?ありません。ひたすら彼らの不満を悪しきものとして否定するだけです。グローバリズムは絶対善であり、歴史の必然であり、それに反対することが罪であるかのような雰囲気です。マスコミ全体、社会全体がそうなのです。

ですから、そうしたグローバル化に反対する人々の受け皿となる政党が必要とされています。そして受け皿となる政党が、それらの人々の不満を政治に反映すべく活動することで、彼らが暴走し、行動が暴力化することを押さえる役割を果たす必要があります。すべては暴力ではなく、理性で解決しなければなりません。

そのような意味において、フランスの国民戦線やイタリアの五つ星運動など、脱グローバル政党の重要性がますます高まっていていると思われます。こうした運動を、合法的で理性的な政治活動にしっかりと定着させるように変化させるべきでしょう。ところが新聞・マスコミ・御用学者はこれらの政党を「極右」と決めつけ、排除にやっきになっているようです。

しかし、そんなことをすればどうなるか?彼らの主張を無視し、否定し、頑なにグローバリズムを推し進めるなら、彼らはますます過激化するのです。行き場をなくした人々の不満は、さらに高まる恐れもあるでしょう。

新聞・マスコミ・御用学者は、移民を排除しようとする極右政党を攻撃するが、彼らもまた、脱グローバルの人々を排除しようとしているだけなのです。

政治が過激化することを恐れるのは当然です。しかし、その一方で「グローバリズムは絶対善」のような価値観を押し付けるだけでは、何の問題の解決にもならないでしょう。人々が怒るのは、理由があるのであって、その理由に目をそむけている限り、過激な人々は今後も増え続けるのではないでしょうか。