2016年7月14日木曜日

国債発行をゼロにしたいなら

財政再建を単純に信奉する人々は、「とにかく借金は少ない方が良い」と考えているでしょう。つまり「国債(政府の借金)はゼロの方が良い」と。しかしそれは不可能です。

多くの一般庶民は「将来のために貯蓄を増やしたい」と考えていますし、富裕層は「カネはあるが、いくらでも欲しい」と考えています。また企業はバブル経済崩壊後の金融危機に懲りて「不況に備えて内部留保を厚くしたい」と考えています。こうして家計も企業もカネを貯め込む意欲満々です。これは避けられません。

一方、通貨はすべて負債から作られます。つまり誰かがおカネを借りなければおカネは生まれないのです。こうして借金によって生まれるおカネが「銀行預金」です。ですから、家計や企業が貯め込んでいるおカネは誰かの借金であるわけです。では、誰が借金しているのか?政府です。

ですから、政府の借金を返すためには家計と企業の貯蓄を切り崩さねばなりません。しかし、一般庶民も富裕層も企業も、貯蓄を増やしたいと考えているのです。これでは財政再建など100%不可能です。これはそもそも、根本的に何かが違うと、誰でも気付くはずです。

少なくとも、家計や企業がカネを貯め込むのは不可避であるわけですから、家計や企業がカネを貯め込んでも政府が借金を負わなくて済む方法を考えるべきでしょう。それは可能です。

政府が政府貨幣として100兆円コインを5枚発行し、これを日銀に入れて500兆円を発生させれば、これは負債ではなく資産として通貨を発行したことになります。そのため、この500兆円分のおカネを家計や企業が貯蓄として貯め込んだとしても、政府の負債は増えません。つまり家計も企業も政府も丸く収まるというわけ。

これは、バランスシート上の仕組みから言えば日銀の国債保有と同じなのです。しかしなぜあえてこれが良いかと言えば、「国の借金がー」という連中がわんさといるからです。彼らはとにかく国債と聞けば減らしたいと言うはずです。国債を日銀が保有していても、真っ赤になって「国債を減らせ」と言うに違いありません。

だったら、日銀が国債を保有する必要はありません。
日銀が政府コインを保有すれば良いのです。