2016年9月16日金曜日

人工システムと自然現象の意図的混同

デフレは自然現象だから避けられないとか、失業が増えて格差が拡大するのは自然現象だから避けられないとか、驚くべき説が飛び出しているようです。そして、自然現象には抗えないので、それに適応すべきであるといいます。彼らには人工的に作られたシステムが自然現象に見えるようなのです。

自然の中にシステムを見出すことは可能です。しかしそれは人間の関わらないところにあります。地球が太陽を回るのも、地上の生態系も、そこにシステムを見出すことは可能です。しかしそれは人間が関わるはるか以前からあったものであり、人間とは無関係にそのシステムによって生じる諸現象は自然現象です。

しかし、デフレや失業、格差などは社会システムにおける諸現象であり、人間の作り出したシステムにおける諸現象です。これを自然現象とみなすには、相当な論理的飛躍・無理があります。

ましてや、それを「自然現象だから避けられない、それを受け入れて適応すべき」など、まったくナンセンスです。たとえば、人間の狂ったシステムによって生じる地球環境破壊、公害を自然現象だといって受け入れ、それに適応するようなものです。

こんなことは、少し考えれば小学生でもわかることです。なのに、なぜこんな間の抜けた話が出てくるのでしょうか。ここには、非常に悪意のある論点のすり替えがあります。デフレも格差拡大も自然現象だから避けられないとの考えを、もし大衆が受け入れたなら、既得権益者にとってこんなにおいしい話はありません。

それは何をされても逆らわない「大衆の家畜化」に他なりません。