2016年10月17日月曜日

おカネは銀行の内側と外側の二重構造

ニュースではさかんに「日銀が金融緩和して世の中のおカネを増やす」というような話をしていますが、実際には日銀が金融緩和しても、それだけでは世の中のおカネは一円も増えない。なぜなら「おカネは銀行の内側と外側の二重構造」になっているからです。

この二重構造をマスコミはきちんと説明しないので、日銀がおカネを発行すると世の中のおカネが増えるという間違った認識が広がっています。まず世間の多くの有権者に対して、このおカネの二重構造を認識して欲しいと思います。

これはおカネの仕組みの基本ですから。

日銀はおカネ(現金)を発行しますが、これは日本銀行券(紙幣)と日銀当座預金の二種類があります。紙幣を印刷するのはわかりやすいですが、民間銀行の日銀当座預金の預金を増やすことも現金の発行です。日銀の金融緩和では、この日銀当座預金を発行して国債を買い取ります。

そして、紙幣も日銀当座預金も、それが増えたところで、あくまでもそれは銀行の内側の話です。世の中のおカネとは銀行の内側ではなく、外側にあるものを指します。なぜなら、銀行の外側にあるおカネが経済を動かすからです。おカネがどれほど銀行の内側にあっても誰も使えませんから。銀行の内側にどんどんおカネが増えても、積んであるだけです。

なので、日銀が金融緩和でおカネをどんどん増やしても、銀行の内側のおカネが増えるだけです。この銀行の内側のおカネは「マネタリーベース」(ベースマネー)と呼ばれます。それに対して、銀行の外側の、世の中のおカネは「マネーストック」と呼ばれます。一般のニュースでこの二重構造をマスコミが明確に説明した場面は、見たことがない。こんな基本中の基本のことなのに。

では、金融緩和で増えた銀行の内側のおカネが、どうやって銀行の外側のおカネを増やすのか?それは銀行の貸し出しです。銀行が金利を課して企業や個人に貸し出したときにだけ、世の中のおカネが増えます。国債も政府への貸し出しですから同じです。つまり、誰かが銀行に借金をしたときにだけ、世の中のおカネが増える仕組みなのです。

しかも、「貸し出す」と言っても、実際には銀行の内側のおカネが外側に流れ出すのではなく、銀行の内側のおカネはそのままなのです。そして銀行の外側に「預金」という信用通貨が、信用創造によって発生します。これ重要です。「銀行の内側のおカネが外側に流れ出すのではない」。流れ出すのではなく、民間銀行によって預金として新たに作られる。この預金が世の中のおカネのすべての基本です。こうして、銀行の内側のマネタリーベースと銀行の外側のマネーストックの二重構造が成り立っています。

これは、普通の有権者の方にも、ご理解していただきたいです。銀行制度の基本ですから。こういう話を、それこそ「そうだったのか」とやって欲しいですが、まあ無理でしょう。銀行の内幕をテレビで詳しくやると、大騒ぎになりますから。

多少詳しい人なら、この程度の事は知っていますが、少数派です。普通の人でも簿記の知識があれば、即わかります。しかし大多数の人はなんにも知らないまま、マスコミがいい加減なおカネの話を広めているだけです。愚民化ですね。それで世の中が動いているのだから恐ろしいです。

もしご興味があれば、本編のサイトに関連記事ありますので、ご覧ください。