2016年10月20日木曜日

「軍縮」の視点はどこへ行った?

「戦争法案反対」と共産党や左派の方は騒いでいますが、どうも理解できません。何かピントがずれているような気がするのです。

確かに戦争は絶対に回避すべき事態です。しかし、日本の武力行使ができる、できないは、世界の戦争にとって何の意味もありません。日本が巻き込まれるかどうかも、日本だけで決まるわけではありません。何もしなければ万事うまくいくなら、世界から戦争などとうの昔に消えているはずです。

なぜ、東アジアの軍事的な緊張が高まってきたのか?中国共産党以外に原因はないわけです。自民党の進める安全法制にしろ、日米同盟の強化にしろ、すべて「中国の軍事的な脅威・威圧行動」が原因です。それに対して日本が何もしなけれれば自然に解決するわけはありません。どのようなアクションを起こすのか。共産党など左派には、そういう代案が何もない。

代案として、なぜ「軍縮」の視点が無いのか。

つまり、原因となっている中国の軍事的な脅威や威圧行動を問題視し、中国に軍縮を呼びかけるのが本筋だと思うわけです。そのうえで、日本に自制を求めるなら理解できます。まず非難すべきは日本政府ではなく、中国共産党でしょう。中国共産党の天井知らずの軍拡や南沙諸島、尖閣諸島での軍事的な威圧行動をスルーしつつ、日本政府ばかり非難してもナンセンスです。

もちろん、日本だけ軍縮しても意味はありません。同時に中国も軍縮するわけです。それを共産党や民進党は、どんどん中国に提案して、可能不可能は別として、まずは交渉すべきしょう。
その上で、戦争法案反対なら大歓迎です。余りにも明らかですが、軍備・軍隊ほどムダなものはありません。戦争も極めてムダです。こんなものは世界から一刻も早くなくさなければならない。軍縮の実現は人類の夢です。

しかし、中国に対して正面から軍縮交渉を口にした外交交渉を見たことがありません。日本政府が中国を相手に軍縮交渉をしたという話は聞いたことがない。もちろんアメリカのオバマの口からも。軍備拡張はその国の好き勝手にやって良いのか。大いに盛り上がっている二酸化炭素の排出削減交渉と、どっちが重要なのか。あきれてしまいます。

もちろん、中国はまったく応じないでしょうが、だからと言って交渉しない理由になりません。軍縮の呼びかけに中国は拒否するでしょう。しかし、何度も軍縮を口にして、そのたびに中国が否定する、を繰り返すと世界の人々の中国に対する印象は悪くなるはず。経済に陰りが見えてきた中国の庶民にとっても、膨大な軍事費は大きな負担になりますし、もちろんアメリカ国民も軍縮したいはずです。

身内相手に騒ぐもの結構ですが、左派政党は中国へ行って行動していただきたいですね。何度も何度も話をするだけで、十分に効果があるはずです。もちろん、政府や自民党も、軍縮という視点をもっと打ち出していただきたい。もし本気でそれをやれば、世界に影響を与えることができます。しかし政府与党にはできないでしょう。

国際関係とは、科学技術がこれだけ進歩した今日ですら、理想とは程遠い、紀元前の時代の原始的な人間の生存本能むきだしの世界ですからね。国際協調なんて欺瞞もいいところです。