2016年10月7日金曜日

ベーシックインカム推進論者は多様

ベーシックインカムを推進している人々のベーシックインカムに対する考え方は、さまざまのようです。というのも、立ち位置(目的)の違う様々な人たちがベーシックインカムの必要性を認識し、その導入を主張しているからです。では、どんな人たちが居るのでしょう。思いつくところで書いてみます。

一つ目は、社会福祉から入ってきた人たちです。彼らは、弱者救済、貧困生活者の最低所得保障を最大目的としているようです。そのため、財政の効率化、あるいは経済論、経済システムとしての考え方よりも、理想・思想・人権といった分野における主張を展開します

二つ目は、行政の効率化から入ってきた人たちです。彼らは社会保障制度にからむ既得権益を排除し、非効率を解消し、歳出を削減すると同時により費用対効果の高い社会保障制度の確立を目的としています。もちろん弱者救済の大儀はあるものの、それが最優先ではないようです。

三つ目は、人工知能や自動生産機械などの急速な進歩に伴う、技術的な失業に対応して経済システムを維持するために、労働と所得の分離を図ろうとする考え方です。これは貧困救済の意味もありますが、中心的な目的ではなく、行政の効率化もほとんど関係ありません。自分はこの三番目の入り口から入ったわけです。

この3つ以外に他にもあるかも知れません。

このように、ベーシックインカムの導入を主張する人たちには、多様な立ち位置があるため、同じ推進派の人でも微妙に考え方が異なるのです。これを念頭に置かないと「そもそもベーシックインカムは・・・・」と始めても、話が全然かみ合わなかったりします。

とはいえ、これは、多様な人々がベーシックインカムの必要性を認識しはじめたことの証左であり、やがてベーシックインカム推進派が多数を形成する予感がします。

EUにおけるベーシックインカムの賛否を問う世論調査の結果によれば、賛成が約6割、反対が2割といった結果が出ているようです。つまり、EUにおいては、「総論」でベーシックインカム賛成が圧倒的に多数を占めるようになってきています。

問題は「各論」つまり制度設計です。多くの庶民は「ベーシックインカムを実施すると、貧困層におカネを吸い取られて、自分の生活が逆に苦しくなるのではないか」との不安を抱いているようです。庶民の生活を悪化させることの無い、優れた制度設計があれば、ベーシックインカムの実現は近いかも知れません。