2016年11月29日火曜日

年金は「保険料の無料化+無条件支給」が正解です

国民配当(ベーシックインカム)を実現するステップとしては、多様な方法が考えられます。もちろん理想的には、毎月10~15万円支給という、最低生活保障を最初から実現する方法でしょうが、自分はこだわりません。一つの考えとしては、年金制度からステップアップする方法もあると思います。

つまり、「年金保険料の無料化+無条件支給」です。これは、いわば年金をベーシックインカムにしてしまおうという話です。高齢者は原則的にいえば、労働人口ではありません。そもそも、総活躍、などと称して、高齢者を無理に働かせようとする考えがおかしいと思います。ベーシックインカム反対論者の多くは「ベーシックインカムを導入すると働かない人が増える」と主張していますが、高齢者であれば働かなくなるのは、あたりまえであって、何の問題もありません。死ぬまで働かされるのがおかしい。

もちろん、高齢者にあっても、企業として必要な人材であれば、企業は喜んで働いてもらうでしょう。しかし、定年延長や再雇用制度によって、無理に高齢者の雇用を維持するのはおかしい。それは「年金生活者の数を減らすための政府の恣意によって、無理やり高齢者を企業に面倒みさせる」だけです。高齢者は働きたくないのに働かされ、企業は雇用したくないのに雇用を維持する。年金財源を減らすためだけに。まさに不毛です。

もちろん、科学技術が進歩せず、生産性が向上しないにも関わらず、寿命だけが伸びている社会であれば、高齢者にも働いて生産活動を行っていただく必要はあるでしょう。しかし現状として生産性の向上は生産年齢人口の減少率より高く、また今後はロボット化、完全自動生産化により、生産性は加速度的に向上するでしょう。

つまり、簡単に言えば、高齢者は早く退職して、代わりにロボットや機械が働けば良いのです。高齢になってまで、無理に働く必要などありません。それを、総活躍、などと称して強制的に労働参加させるのは残酷にすぎません。働きたい高齢者は働いても良い、しかし、それ以外の高齢者は基本的に働く必要はありません。

そこで、「年金保険料の無料化+無条件支給」です。年金をベーシックインカム化するのですから、保険料は必要ありません。そして65歳以上であれば、無条件に支給します。

保険料が無料化するので、現役世代の年金負担は無くなります。これで毎月国民年金税約15,000円払う必要がありませんから、減税と同じ効果があります。景気刺激効果があります。これは非常に大きいです。

なおかつ、無条件に支給なので、国民の年金に対する不安は消えます。将来への不安が消えれば、貯蓄より消費へおカネが流れるといいますから、景気回復にも効果あります。年金支給額としては、国民年金の2倍の約140,000円ほどを毎月支給すれば生活できるでしょう。もちろん、厚生年金や個人年金は上乗せでも良いわけです。

こうして、年金が保証されれば、仮に人生に果敢にチャレンジして、失敗しても、老後は野タレ死ぬ恐怖から開放されます。リスクを恐れない活力が社会に生まれます。

また、高齢者の生活保護は年々増加しており、結局のところ、年金をベーシックインカム化しても同じことです。それならば、中途半端に生活保護で保障するのではなく、高齢者をまるごと完全に保護してしまうほうが、将来への不安を確実に払拭できます。

そして、社会の自動生産化の進展にあわせて、年金支給年齢を引き上げるのではなく、逆に60歳、55歳と、段階的に引き下げます。また、幼児や学生のベーシックインカム化を併用しても良いです。

つまり、高齢者や若年者という「非生産年齢人口のベーシックインカム化」です。非生産年齢の人は、そもそも働く必要はないのですから、それらの人々の生活を保障することから始めるのが一つの方法だと思うのです。

財源は通貨発行+金融資産課税といったところですが、長くなるので、それは別の機会に。

最初から完全ベーシックインカムを導入するよりも、必要な財源は低く抑えられますから、実現可能性はより高まります。一つのアプローチ方法として、ご提案します。