2016年12月26日月曜日

自分が翁長氏だったらこうする

アメリカは絶対に沖縄から撤退しません。アメリカの世界戦略上、沖縄は極めて重要な位置にあり、それを手放すことはアメリカの敗北を意味するようなものです。つまり現状で沖縄から米軍基地を追い出すことは100%不可能です。不可能を承知で反対運動を強力に続けるとどうなるか?

軍事に関して沖縄県に圧力をかけるのは筋違いですから、アメリカは日本政府に強力に圧力をかけてくるでしょう。パワーバランスから言って、日本政府がそれを断れるはずもなく、政府は沖縄に厳しく対処することになります。そのため、日本政府だけが悪者になり、沖縄県民の反感を一手に引き受けます。翁長氏がそれを狙っているのかどうか知らないが、そういう構図になる。

しかし、考えれば直ぐにわかりますが、沖縄からアメリカが手を引かないのは、中国共産党が驚異的な勢いで軍拡を進めていることも大きな原因です。また日本政府にとっても、尖閣諸島に公船を派遣して圧力をかけている中国に対抗するため、アメリカ軍基地を利用したいと考えるでしょう。もし仮に、台湾が独立して台湾に米軍基地が作られたら、沖縄の重要性は大きく低下し、沖縄米軍基地はなくなるかもしれません。台湾も自国防衛のためにそれを強く望むはずです。しかし現状でそれは難しいでしょう。

自分が翁長氏だったら、県民感情に配慮して米軍基地反対デモに協力しつつも、米国の相手である中国共産党にも強烈な抗議活動を行います。特に尖閣諸島は沖縄県ですから、そこに中国公船が我が物顔で跋扈している状況は、知事として当然ながら傍観などできないでしょう。毎月のように中国大使館を訪問し、尖閣諸島への侵入を中止するように求めます。

ところが、現状で中国共産党が尖閣諸島から手を引くことは100%ありえません。中国共産党にとって尖閣諸島は軍事戦略上重要だからです。中国が沖縄本島へ勢力を拡大するための重要な足場になります。そして100%あり得ないことを承知で抗議を強力に続けるとどうなるか?

度重なる沖縄県の要請を無視する中国共産党に対する沖縄県民の感情は悪化し、中国もまた悪者になる。そうすればアメリカや日本だけでなく、中国もまた悪いという話になる。沖縄で中国共産党に対する抗議デモが発生するかも知れません。翁長氏がそれを恐れて中国への抗議を一切しないのかどうか知らないが、そういう構図になる。

しかし、それが公平な立場ではないのか。

沖縄はアメリカと中国という大国の軍事バランスに振り回されています。それは日本も同じです。つまり、こうした状況そのものに大きな問題がある。もしそれに抗議するのであれば、米中両方に対して、同じように毅然とした態度を示さねばなりません。

もし米中が軍縮して平和になれば、沖縄に基地などまったく無用なのですから。