2016年12月27日火曜日

銀行と消費者金融の違いは

ある人の金融に関する基本的な理解度を知るためには、その人に「銀行と消費者金融の違いを知っていますか?」とたずねてみるのが良いと思います。銀行も消費者金融も、おカネを貸すという点では同じですが、根本的な違いがあります。

おそらく大部分の人は根本的な違いについて答えることができないと思います。それだけ金融のことは誰も何も理解していません。そんな状況で、新聞マスコミにおいて、金融緩和とか、財政再建とかが論じられているのですから、何か絶望的な気がしてきます。

銀行と消費者金融の違いは、「信用創造できるか、できないか」

銀行は誰かにおカネを貸し出す際、信用創造によって預金を発生させ、この預金を貸し出します。ですから、原理的には無限に貸し出しが可能です。消費者金融の場合は、信用創造できませんので、あらかじめ保有している預金を貸し出します。ですから、保有している預金の量を超えて貸し出すことはできません。ここに大きな違いがあります。

もちろん、銀行は原理的に無限に預金を発生させて、それを貸し出すことが可能ですが、それだと世の中が預金だらけになってしまうので、準備預金制度というルールで規制されています。準備預金制度では、銀行が貸し出しできる預金の総量は、保有する現金(マネタリーベース)によって制限されます。

違いについて、もう少し言えば、

銀行が貸し出しを行う場合、資産として貸出債権を発生し、負債として預金を発生し、この預金を、おカネを借りる人の預金口座に振り込みます。ですから銀行は保有している預金を貸し出すわけではありません、預金を発生して貸し出します。その結果、銀行のバランスシートは拡大します。

消費者金融が貸し出しを行う場合、資産の部にある預金を抜いて、おカネを借りる人の預金口座に振り込み、同時に減った預金に相当する貸出債権を資産に計上します。ですから消費者金融は、保有している預金を貸し出します。その結果、消費者金融のバランスシートは不変です。

銀行と消費者金融の違いはなに?と、多くの人に質問してください。それによって、多くの人々の金融に関するリテラシーが明らかに向上するはずです。人々の金融に関するリテラシーが向上しない限り、人々は新聞マスコミ御用学者や政治家資産家に振り回されるだけだと思います。