2016年12月8日木曜日

減価する法定仮想通貨

中央銀行が仮想通貨を研究しているという記事がありました。つまり、仮想通貨を法定通貨の仕組みとして利用する可能性もゼロではありません。これはかなり画期的です。これまで不可能と思われていた「減価する通貨」を実現できるかも知れないからです。

時間と共に減価する通貨を物理的に作り出すのは不可能でしょう。紙幣や硬貨であれば、自動的に減価することはありませんし、紙幣ごとにカードチップ型マネーにするにはコストがかかりすぎます。おまけに扱いが面倒です。預金や電子マネーのような口座の場合は、口座にマイナス金利を付しますが、そうした口座は無数にありますし、おまけに海外に送金されたりして、非常にややこしいです。

ところが、仮想通貨であれば、通貨そのものは電子情報であり、特定の口座に依存しない(分散管理)。時間経過にあわせて一定の比率で減価するメカニズムをシステムに組み込んでおけば、いちいち減価する操作をしなくても、自動的に通貨そのものが減価するはずです。通貨のシステムとして減価が組み込まれれば、どこの口座にあろうと、海外にあろうと、必ず減価すると思われます。

これは劇的な変化をもたらします。様々な変化があると思われますが、最も大きいのは、税金を廃止できるだろうという点です。無税国家です。

税金を徴収するのはコストがかかる上に、脱税、節税、パナマへ流出など大変です。ところが、通貨そのものが減価すれば、減価した額だけ新たに政府が通貨を発行し、これを財源とすることにより、事実上、税収を得たことと同じになります。しかも、おカネを貯め込んでいる人(企業)ほど、絶対金額としては多く減額します。つまり資産格差の縮小が可能です。これは預金課税と同じ働きをしますが、税ではないので、脱税は不可能です。徴税や節税にかかわるすべてのコストは不要になります。

そして、たとえば、法定仮想通貨を中央銀行ではなく政府が発行し、減価する通貨の発行益によって政府支出(ベーシックインカム、公益事業など)を行うことができます。しかも発行した通貨は自動的に減価するため、世の中の通貨が過剰に膨張することもありませんので、インフレは低く抑えられます。これにより、貯蓄過剰は解消され、世の中のおカネが回ります。

これが「法定通貨」であることが重要です。法定通貨ですから強制力があり、流通が確保されます。

自分には仮想通貨の技術的な知識はそれほどありませんので、はたして、これが本当に可能かどうかを断定することはできません。しかし、非常に面白い方法だと思います。