2017年1月17日火曜日

日銀は絶対に倒産しない

日銀が国債を買い入れて損失を出すと、日銀が倒産すると思う人がいるようです。しかしどんな無茶苦茶な状況になっても日銀が倒産することはありません。なぜなら日銀は「発券銀行」(現金を発行する銀行)だからです。

そもそも会社はどうして倒産するのでしょうか。それは会社が現金を発行できないからです(笑)、というのは半分冗談ですが、半分は本当です。

ときどき「黒字倒産」という話を聞きます。黒字倒産とは何でしょう。黒字ですから、売り上げはあるし、売り上げ利益もある。儲けが出ているわけです。ところがいくら利益が出ても、売上金の回収が支払いに追いつかないことがあるのです。そうなると保有する現金・預金がどんどん減って、やがて取引先におカネを支払うことができなくなります(資金繰りのショート)。この状態で「手形不渡り」となり、取引が不能となるため事業が継続できず、倒産となります。たとえ黒字でも倒産します。

逆に言えば、どれほど赤字の企業であっても、現金・預金がある限り倒産しません。取引先に支払いができるからです。そして、現金・預金は銀行から借り入れることができますから、銀行がその企業に貸し出しを増やし続ける限り、企業が倒産することはありません。ですが、一般に債務超過の企業に対して銀行は融資を止めてしまいます。これが引き金となって、会社が倒産します。銀行の貸しはがしなどがこれです。

つまり、取引先などへの支払いができなくなった時点で、事業の継続が不能になり、事業活動が停止する、これが実際に起きる倒産だと考えられます。

さて、日銀は発券銀行なので、必要ならばいくらでも通貨を発行できます。現在の通貨制度では、通貨は借金つまり「負債」なので、それを発行するには、帳簿上で「資産」を計上する必要があります。この資産は何でもかまわないのです。帳簿上のルールに過ぎないからです。FRB元議長バーナンキの言うように、ケチャップでも問題もありません。石ころでもいい。安倍晋三のサイン色紙でもいいw。

日銀は必要なだけおカネを発行できますから、支払い不能になることはありません。つまり倒産することはありえないのです。もちろん、これは日銀だから許されていることであって、一般の企業はおカネを発行できませんから、倒産することになります。もし企業が現金を発行できるなら、企業が倒産することはありません。

とはいえ、企業は現金を発行できませんが、似たようなものを発行できます。それが「手形」です。手形はおカネではありませんが、これを使って取引ができます。これは現金と同じように企業の「負債」として振り出されます。これは企業の「信用」と考えられます。とはいえ、この手形を無限に発行して取引先に支払おうとしても、受け取ってくれないでしょう。この手形も現金と交換できるからこそ通用力を有するからです。

これは銀行預金の信用も同じです。預金も銀行の負債として発生しますが、現金ではありません。あくまで現金と交換できるからこそ信用があります。ですから預金通貨を発行できる民間銀行の場合でも、倒産します。

ですから、日銀が債務超過になっても、つまり帳簿上で負債(日銀の負債とは現金でありマネタリーベースである)が資産より大きい状態になっても、倒産することはあり得ないのです。

もしあなたが潔癖症で、どうしても帳尻を合わせたいのであれば、方法はあります。日銀の保有する国債がデフォルトしても、日銀が借換債を発行すればデフォルトは回避され、日銀の帳簿上の資産が目減りすることはありません。額面以下の金額で国債を購入して損失を出しても、差額の資産を計上すれば帳簿上の資産が目減りすることはありません。その資産はケチャップでも良いわけですが、政府コインでもかまいません。しかし帳尻を合わせようとあわせまいと、実質的な違いはありません。帳簿上のルールに過ぎないからです。

以上より、日銀が倒産する心配は皆無です。ですが、これをやりすぎると日銀の負債が増える、つまり世の中の現金(マネタリーベース)が増えるため、インフレになります。デフレを脱却してしまうのです。ある筋にとってこれは問題ですけどねw。