2017年1月18日水曜日

厚労省の年金だまし絵図

厚生労働省は「年金だまし絵図」が大好きです。「65歳以上の年金世代を何人の現役世代で支えるか」という例の図です。この絵図をマスコミが常に垂れ流していますから、騙される人は多いと思います。

しかし、この図は「生産性」という概念が欠落しており、そのため、テクノロジーの進化でどれほど生産性が向上しても、「必ず現役世代の負担が大きくなるようにできている」のです。お笑いですが、まさに騙しのトリックですね。

この図式は現役世代の負担と言いつつ、単に人口比をあらわしているに過ぎません。つまり、

現役世代の負担=高齢者の人口/現役世代の人口

です。これでは高齢者人口の割合が増える限り、負担が高まるのは当然です。しかし実際にはテクノロジーの進化により、現役世代の1人当たり生産性は向上します。もし生産性を考慮するのであれば、

現役世代の負担=高齢者の人口/現役世代の人口×生産性上昇率

となります。現役世代の人口が減少しても、生産性が向上すれば負担は変わらないわけです。さらに言えば、現役世代の人口が減るよりも生産性上昇率が大きければ、現役世代の負担は年々軽くなるでしょう。「財の生産」という経済の本質から考えた場合、現役世代の負担が増えるとは限らない。

もし、数式を使わずに絵図だけで例えるならば、後の時代では、現役世代の人数は減るものの、人々がマッチョな怪力男になって、高齢者をラクラク支えるような図になるでしょう。テクノロジーによって1人当たり生産力が増強されるからです。

とはいえ厚生労働省や財務省のように「税金の歳入・歳出でしか考えられない脳」の場合、どれほどテクノロジーが進化しても現役世代の負担が増え続けるとしか理解できません。基本的に税収の総額は現役世代の人数によってきまるからです。つまり、経済の実態とはつじつまが合いません。

矛盾の理由は、
「税金の歳入・歳出でしか考えられない脳」にあります。

テクノロジーの進化により、高齢者の生活をささえるための財(モノやサービス)は必要十分に生産されるようになります。しかし、財源をすべて家計への税収に頼るがゆえに、財を分配するための通貨が不足してしまうのです。ですから、通貨を発行して年金に上乗せすればよい、ただそれだけのことです。

「年金だまし絵図」をちらつかせて増税と福祉削減を誘導する財務省、厚生労働省、新聞マスコミに騙されてはいけません。