2017年1月22日日曜日

人口が減少しても失業率には関係ない

人口が減少すると失業が増えるのか、という質問がありましたので、少し考えたいと思います。結論は「人口減少と失業率は無関係」だと思います。

理由を一言でいえば、「人口が減少すれば総需要は減少するが、同時に必要とされる労働者の数も減少するため、失業率は変わらない」になると思います。以下、自己流の説明ですが、数字を使って説明します。

人口が減少すると総需要は減少します。たとえば人口100人の国があって、1人当たり4の財(モノやサービス)を消費しているとします。その時の総需要は100人×4=400です。人口が80人に減れば、80人×4=320となり、80だけ需要は減少します。需要が減るので失業が増える気がしますね。

さて、人口100人のとき、80人が就業、20人が失業だったとすると失業率は20人/100人=20%です。この時の消費が400ですから、80人の労働者で400の財を生産していますから、労働者1人あたり生産量は400/80人=5となります。

人口が80に減少すると、必要な財の量は320に減ります。1人当たり5の財を生産できるので、320の財を生産するのに必要な人数は64人です。つまり80人のうち64人が就労することになります。失業者は80-64=16人。失業率は16人/80人=20%。すなわち、失業率は変わりません。つまり、人口が減った分だけ、就労者も減り、失業者も減る。

ゆえに、人口の増減と失業率は無関係だと、推察されます。

ちなみに、人口が減少しても、失業者が減る、というケースもありますね。前例でこれを考えると、1人当たりの需要が増加した場合があります。1人当たり需要が4から5に増加すると、80人×5=400の総需要です。労働者1人当たり生産量は5ですから、必要な労働者数は400/5=80人となります。すると人口80人で80人が働くので、失業率はゼロになります。

1人当たりの需要が4から5に増加するということは、一人ひとりの国民がより豊かになることを意味していますね。つまり、

「人口が減少しても、国民の生活を豊かにすれば、総需要が増大して失業者は減る」。これは景気がよくなることと同じです。

このように推察されます。

なお、人口減少ではなく「高齢化」となると、話がややこしくなります。いずれにしろ、失業は総需要不足が原因ですから、「失業増加は不可避」などはあり得ません。