2017年1月31日火曜日

福利厚生と社会保障の類似性

世の中には社会保障を悪く言う人がいますが、社会保障を大企などで充実している福利厚生と対比して考えてみるのも面白いと思います。福利厚生は、慶弔見舞金の支給、家族手当・保育支援、社員寮、社員旅行や部活動等のレクレーション活動、社員の保養のための施設提供などさまざまあります。福利厚生なんかいらねえ、という人はいないのではないでしょうか。

とはいえ、福利厚生は大企業のように経営に余裕のある企業でなければ、あまり充実していないかも知れません。その意味で福利厚生の充実は、その企業は競争力が高く、優良企業であることの証のようなものでもあります。いわばステイタスです。これを国に例えるなら、社会保障の充実している国は国際競争力が高く、豊かでゆとりのある優良な国であることの証のようなものだと考えられます。いわば国のステイタスです。

また福利厚生は会社に勤める従業員の満足度を高める、企業の魅力を高めることで、従業員のモチベーションを高めたり、新たに人材を確保したり、人材の流出を止めるためにも効果的です。そして企業に対する貢献を通じて、従業員に利益をもたらす効果があると思われます。これを国に例えるなら、充実している社会保障(セイフティーネットワーク)は、国民の生活や将来に対する不安を和らげ、消費を促進し、モチベーションを高める効果がありますし、国の魅力を高め、国民の国に対する貢献を通じて全国民に利益をもたらし、公共の気持ちを生むと思われます。

このように考えてみると、社会保障は単なる弱者救済なのではなく、その国の優秀さ、豊かさの証であり、ステイタスであるわけです。そして国民の不安を和らげてモチベーションを高め、それが国への貢献を通じて、国の競争力や人々の豊かさをさらに高め、より価値のある国へ進化することを後押しすると思うのです。

福利厚生は企業の裁量だし、戦略でもあるわけです。そうした戦略を国が考えたとしても、何ら不思議はありませんし、社会保障にはそうした国家戦略としての側面もあるべきだろうと思うのです。