2017年2月17日金曜日

政策提言ならもっと大胆に

ある新聞社が紙面で「政策提言」を公表しました。提言の骨子は「育児と介護政策で安心感→経済成長、そのためには消費税」という財務省の提言かと思われるような内容でした。古すぎる。そんな程度で対処できるなら日本が20年間も失われたりはしません。

自分だったらこう提言します。自分の提案の基本は「テクノロジーの育成」です。社会保障はテクノロジーが実現します。社会保障の財源の本質はカネではありません。人々が生活するために必要な消費財(サービス含む)です。仮に全国民が使い切れないほどの消費財が生産されるなら、貧困はありえない。生活に不安を持つこともないし、無理をして子供を預けてまで働く必要もない。

消費財を生産するのは人間ではなく機械です。もはや人間が居なければ消費財が生産出来ないとする考えは時代遅れです。だから機械による生産技術、つまり人工知能やロボット、完全自動生産工場の研究開発が消費財の生産力に直結します。

まさにテクノロジーが供給力を飛躍的に押し上げ、それこそが社会保障の財源となるのです。ですから研究開発投資が政策提言の核になります。消費税の増税など何の役にも立たないどころが害悪に過ぎません。

①政府として研究開発に大規模な投資

予算の組み替えは必要ありません。これまでの予算に上乗せして研究開発投資を行うのです。科学技術振興費は現在年間1.3兆円しかありません。これを10兆円くらいにして、政府主導でリスクの大きい基礎研究を、民間を助成して実用段階の技術の開発ペースを加速させるわけです。この支出は一過性ではなく永続します。投資分野は生産能力に関わる人工知能、ロボットなど、さらに資源分野として太陽光、地熱、新素材、省資源、代替資源。そして介護分野です。研究開発費では米国・中国に遥かに負けています。にもかかわらず危機感がありません。

研究開発は生産コストの低減に極めて有効です。国土強靭化にしろ、自然エネルギー開発にしろ、大切です。しかしまず優先するのはテクノロジーです。テクノロジーによってコストダウンを図れば、同じ投入量でもより多くのアウトプットが得られます。

②ヘリコプターマネー

大規模投資の財源はヘリマネ(通貨発行)です。もちろん脱デフレのために給付金として国民へ支給することも検討されるべきです。脱デフレが民間投資も促します。とはいえ企業が儲かっても、内部留保を増やすだけかもしれません。信用できない。だから当面は政府主導の投資は欠かせないと思います。法人税の減税は必要ありません。そのぶん、企業の研究開発を支援した方が効果的でしょう。

刷ったカネを世の中に投入し、そのカネが回り始めれば税収は放置しても勝手に増え続けるでしょう。増税の必要などまったくないはずです。カネを刷って回す。その根拠がテクノロジーの進化による供給力の向上にあるわけです。もちろん供給力が向上しなければインフレを招くことになりますから、バランスが重要です。

そして税収が増えれば、育児も介護も福祉も、すべて持続可能です。つまり「安心社会の実現→経済成長」は間違い。「経済成長→安心社会」なのです。その鍵を握っているのがテクノロジーであると思うのです。間違っても消費税の増税ではありません。