2017年2月21日火曜日

途上国のBI財源は消費税が適している

インド政府がベーシックインカムの導入に前向きだと言います。日本のような先進国とは異なり、途上国がベーシックインカムを採用する場合の財源は消費税が適していると思います。

途上国と先進国はどこが違うのでしょうか。生産能力つまり生産資本の量に大きな違いがあります。途上国はインフラ設備、工業設備、農業設備のような生産設備が十分ではありません。労働力人口は多いのですが現代社会では人間ではなく設備(機械)が生産の大部分を担いますから、たとえ人口が多くても1人当たり生産力としては決して高くありません。

そのため、もし人々に過分な所得を与えるなら需要が爆発的に増大し、供給が間に合わなくなって激しいインフレを引き起こす恐れがあると思われます。先進国の場合は供給力が極めて大きいですから、たとえ人々の需要が増えても機械が稼働して生産が増大しますから、インフレになりにくいです。つまり余力がある。ここに大きな違いがあります。ですから途上国でベーシックインカムを行う場合は供給能力を超えた需要が発生しないよう注意すべきであると考えられます。

途上国においてベーシックインカムの財源を考える場合は先進国とは異なる方法を用いるべきだと思います。それが消費税を財源とする方法です。消費税を財源としたベーシックインカムを行えば、消費される財の総量はほとんど増えません。売れるモノの量が増えないのでインフレにならないわけです。

消費総量を増やすことなく再分配を行えば所得格差を是正して貧困を解消できます。これは明確な再分配政策です。生産能力の低い途上国におけるベーシックインカムは、過度なインフレを抑えるために「再分配であることが必要」だと思われます。

逆に言えば、日本のような生産過剰・消費不足のデフレ社会で消費税を増税してベーシックインカムを実施しても消費の拡大効果が見込めず、デフレも解消しません。生産力の有り余っている日本で必要なことは再分配ではなく「分配」です。それを間違えるとベーシックインカムで「日本を平等に貧しくする」危険性もあると思われるのです。