2017年3月16日木曜日

投資過剰は本当に悪いことか

一般に設備の過剰、投資過剰は悪いことと考えられています。バブルの頃の投資過剰が問題視されたこともありました。しかし本当に投資過剰は問題なのでしょうか。

投資により生産設備が作られれば財(モノやサービス)の生産能力が増加します。より多くの財を生産できるようになるのですから、世の中は豊かになるはずですし、何も困ることはないと思います。にもかかわらず、投資が多すぎると良くないというのです。

なぜなら、投資は「借金」で行われる場合が多いからです。借金して投資を行う場合、借金は返済しなければなりません。金利の支払いも必要です。ですから利益を生まなければなりません。しかし、生産量が増えると市場で商品の価格が低下し、利益が少なくなります。ですから「多く作ってはいけない」のです。

ある意味では、投資が増えれば増えるほどリスクが高まります。借金と金利を返済しなければならないためです。本当は投資すればするほど生産力が高まって安く人々に届けられますが、それでは借金と金利を返済できずに倒産してしまうのです。

それは避けられないのでしょうか?
借金とは別の方法で投資を行えばよいのではないでしょうか。

株式による投資、あるいは企業利益の再投資であれば、仮に投資過剰であったとしてもリスクはずいぶん小さくなるはずです。株式投資で設備が過剰になっても株式の配当金がゼロになるだけで会社は倒産しませんし、利益の再投資の場合も内部留保が減るだけで倒産はしません。どちらも無借金なので、借金と金利を返済する必要が無いからです。

社会全体で設備が多すぎると供給過剰のために「原価割れ」を起こす可能性はあります。そんな場合は、設備の稼働率をさげて生産量を減らし、市場価格を操作すれば企業が倒産することはないでしょう。しかし設備は遊んでしまいます。

それなら、作りすぎた財を買うだけのおカネを庶民に与えたらどうでしょう。価格が安くても庶民がどんどん買えば企業の利益は増加して、採算は取れます。そうすれば庶民は安く大量の商品を手に入れ、企業の投資は無駄にならない。もちろんあまりにも過剰な投資はムダな生産を増やすだけで意味はありません。

そのように考えてみると、あまりに極端な例を除けば、投資過剰に問題があるわけではなさそうです。むしろ投資を活かせない社会のシステムに問題があるような気がするのです。

給付金による消費者の購買力強化
企業利益に基づく無借金の再投資

この二つが十分に行われるなら、投資がやや過剰になることは、あまり問題にならない気がします。問題の原因は「借金による投資」であり、つまり「投資すればするほど借金が増える」仕組みに問題があるような気がします。