2017年3月22日水曜日

取り付け騒ぎと通貨改革

金融資産に課税すると「取り付け騒ぎになる」との話が出てきます。しかし問題ありません。その機会に100%マネーに切り替えましょう。そうすれば引き出し要求にはすべて応じることができますし、むしろ良いでしょう。

取り付け騒ぎとは、預金者が民間銀行に押しかけて、預金を引き出そうとする(預金を現金に換える)行為です。一般的には取り付け騒ぎになると預金の引き出しに応じることができず、銀行が閉鎖されて、預金は失われてしまいます。銀行は流動性を失うため決済不能となり、経済にも大きな影響が出ます。

しかし、取り付け騒ぎの原因は現在の銀行制度にあります。現代の銀行制度において預金は「信用創造」によって作り出されています。つまり、一定の現金をいわば「見せガネ」にして、その何倍ものおカネを預金として企業や個人に貸し出すことで「信用創造」しています。そのため、現金の何倍もの預金が世の中には存在しています。ですから、そもそもすべての預金を現金として引き出すのは「最初から不可能」な制度なのです。

現代の銀行制度は常に現金の量より預金の量が大きい。

もし、現金の量と預金の量が同じであれば、すべての現金を引き出すことは可能なはずです。そのためには「預金だけが勝手に膨張する仕組み(信用創造)」を止める必要があります。なぜ現金より預金が多いかと言えば、預金だけが勝手に増えるからです。もし預金が勝手に増えなければ、「現金の量=預金の量」になります(専門的にはマネタリーベース=マネーストック)。

それが100%マネーの基本的な考えです。

もし企業や個人がより多くのおカネを必要としているのであれば、民間銀行が勝手に預金を増やすのではなく、日本銀行などの政府が現金を増やせば良いのです。日本銀行が増やした現金は民間銀行に預金されますので、同時に同額の預金が増えます。こうして現金と預金が同時に増えるなら、常に「現金の量=預金の量」は維持され、すべての引き出しに応じることができます。

そのために、通貨改革が必要です。

さて、現時点(預金が現金の何倍もある状態)で取り付け騒ぎが起きたらどうなるか?すべての預金を現金として引き出すことはできません。しかし、日銀が民間銀行に現金を無利子で融資すれば、すべての引き出し要求に応える事が可能です。ただし、日銀券の印刷には時間が必要なので、印刷時間の分だけ待たされることになりますが。

すべての現金が民間銀行から引き出されたとしても、銀行は日銀から現金の融資を受けることが可能ですから、貸し出しするおカネに困ることはありません。預金が無ければ、むしろ預金者に金利を払う必要がありませんので、銀行は経営が楽になるかも知れませんね。

100%マネーにすれば人々の預金は完全に保護されますので、銀行が倒産しても預金は消えません。焦って現金を銀行から引き出す必要はありません。手元に現金を置けば物騒ですし、支払いもすべて現金という、大昔に逆戻りしてしまうだけです。