2017年4月27日木曜日

ルペン氏はヘリマネによる財政出動をすべき

フランス経済が復活するにはユーロ通貨からの離脱が正しい選択です。しかし、それだけではユーロ離脱の本当のメリットは何も享受できません。ヘリマネによる財政出動、通貨の膨張がなければマクロン氏と大差ないのです。

EU・マクロンの決定的な問題点は緊縮主義にあります。そしてEUが緊縮主義である限りフランスは緊縮せざるを得ません。なぜなら、フランスはユーロに加盟することで通貨発行主権を失っているからです。そのためフランス独自の金融政策(金利操作、国債オペ)ができないことはもちろん、中央銀行による国債買い入れが不可能ですから、財政均衡主義を取らざるを得ないのです(そうしないと国債がデフォルトする)

さて、政府のマクロ経済政策は「金融政策」と「財政政策」からなりますが、なんと、フランスはユーロ加盟によって「金融政策」と「財政政策」の二大政策を使えなくなってしまいました。マクロ政策が使えない。これで大統領に当選したところで、どんな経済政策が打てるのでしょうか?事実上、フランスは何も出来ないのです。笑うしかありません。これでフランスの経済が良くなったら奇跡というか、神の手による魔法か何かでしょうw。

逆に言えば、ユーロから離脱して独自通貨「フラン」を回復したなら、ユーロの支配から逃れて「金融政策」「財政政策」を再び自由に使うことが可能になります。それこそがユーロ離脱の最大のメリットであり、通貨主権回復のメリットです。ですから、金融・財政の積極的な政策展開を行わないのであれば、ユーロを離脱する意味はまったくありません。

ルペン氏がそれを理解しているかが問題です。

自由貿易を制限して、関税によって国内製品を守ったところで、それだけで失業が減って景気がよくなるわけではありません。総需要が増えなければ意味がありません。移民を制限しても総需要は増えません。実は、ルペン氏も財政赤字を縮小するとの考えを持っています。ただし単なる財政均衡主義ではなく、財政ファイナンスを容認する考えももっているようです。

財政ファイナンスは広い意味ではヘリコプターマネーを意味します。つまり政府主導による流通通貨量(マネーストック)の増大です。これをさらに一歩踏み込み、フランス国民全てに給付金を支給することで、総需要を引き上げれば良いのです。これは、ユーロ圏に留まると主張するマクロン氏には絶対にマネできない経済政策です。まさに通貨主権のなせる業です。

欧州先進国における生産性はすでに十分に高いレベルにあるはずであり、いま必要なことはさらなる生産性向上ではなく、高い生産性に見合うだけの潤沢な通貨循環です。

ルペン氏がそれを理解してヘリマネを実施すれば、マクロン氏とはまったく違った成果をもたらすことができると確信します。しかし、ルペン氏が単なる反EU、反移民に留まるなら、おそらくマクロン氏と大差ない、あるいはそれよりも期待はずれの結果しか生まない恐れもあると思います。

2017年4月26日水曜日

マクロン氏当選で仏は失われた20年へ

フランスでは、EU離脱を目指すルペン氏を落選させるべくすべての政党がマクロン氏の支持に回ったようです。しかし緊縮・構造改革主義者のマクロン氏が当選すれば、フランスは「欧州版失われた20年」に突入する危険性が高いと思います。

EUは緊縮・財政均衡主義の傾向が強く、それを加盟国に強制に近いかたちで要求しています。ですからEUを重視するマクロン氏が緊縮なのは当然でしょう。財政出動による有効需要の拡大などまったく考えていないようです。尤も、EUに加盟する限り、フランスは独自の財政・金融政策の余地など無いに等しいのですから当然です。

マクロン氏の政策によれば5年で500億ユーロの投資を行うといいます。しかしそのかわり5年で12万人の公務員を削減し、5年で600億ユーロの歳出を減らすと主張しています。差し引き、経済に投入される通貨はなんと100億ユーロも減るわけです。しかも、5年後には投資は終了して、歳出削減だけが残るわけです。

では、フランス経済の建て直しをどうするのか?構造改革・自由貿易・移民推進により、市場原理をさらに強化することで経済を成長させるという。そもそもバリバリの資本家エリートコースを辿って来たマクロン氏が労働者に甘いわけが無い。市場原理でしばきあげる気が満々ですねw。

構造改革や自由貿易をいくら推進しても、カネを増やさなければ経済は慢性デフレになる。それは日本の失われた20年をみれば誰でもわかるはずです。日本の失策に学ばないフランスは「欧州版失われた20年」に突入するでしょう。「新自由主義+緊縮主義」の政策ミックスは、長期デフレのセオリーだと思います。

ところが、資本主義の代表者であるマクロン氏をなんと、労働者の代表者であるはずの左派・オランド社会党が後押しするというから、開いた口が塞がりませんw。

こ、これはどこかで見たようなボケっぷり・・・そう、デフレ脱却などお構いなしに消費税増税を推進する日本の左派、民進党のボケ具合を彷彿とさせます。今のご時勢、労働者の味方であるはずの左派政党は世界中でどうなっているのか?見るも無残な左派の体たらくは日本だけでなく、フランスでも起きているのですね。いや、アメリカの民主党も地に落ちた。どの国も左派がまるでダメになってしまいました。

今のフランスの政治はグローバル資本主義一辺倒で、労働者に希望を提示できる政党がありません。そして人々の間に渦巻く反EU感情を押さえ込むために、EU離脱を主張する政党に「極右」のレッテルを貼って、人々の不安を煽り、EU崩壊を旧来勢力の右派左派が必死に防いでいるような有様です。

しかしマクロン氏が大統領に当選したところで、「新自由主義+緊縮主義」の政策ミックスを続ける限り、フランスは日本と同じ失われた20年の道をたどることになるでしょう。そのとき、さらに過激で反動的な政治運動が起きないことを「神の手」に祈りましょう。


2017年4月25日火曜日

自由貿易・移民政策は薬にも毒にもなる

新聞マスコミは盲目的に自由貿易・移民政策の擁護に余念が無い。まるで宗教のような印象すら与えます。しかしそれが薬にも毒にもなることを理解しないため、世界の分断をますます助長することになると思います。

経済における諸政策を観察すると、その多くは薬にも毒にもなることがわかります。つまり、政策を実施するときの経済状況(インフレ・デフレ等)や、同時に実施される政策の組み合わせ(金融・財政・税制等)、あるいは政策の実施順番によって、あるいは合成の誤謬の影響により、同じ政策であっても、効果的であったり、逆に問題を引き起こす場合が見られます。

つまり、一言で言えば、政策の効果は「ケースバイケース」です。常に正しい、という魔法のような政策はないと考えるべきです。政策の組み合わせ、タイミング、実施順位が重要であり、それによっては、今すべきではない政策も当然ながらあると考えるのが自然だと思います。

ところが、こと自由貿易・移民政策になると、新聞マスコミの態度は「絶対善」「魔法の政策」になります。どんな問題が発生しても自由貿易・移民政策は絶対善であり、避けられないと称して、何としても自由貿易・移民政策に固執する状況が見て取れます。

まるで宗教運動を見ているようです。

なぜ新聞マスコミが、政策の柔軟性を欠く過激主義的な態度を示すのか理解に苦しみます。結局のところ、何か宗教じみた動機をその中に見出さざるを得ないのです。

自由貿易の理論から言ってもまったく合理性が無いのは、「自由貿易・移民政策」と「緊縮財政」を同時に組み合わせる政策ミックスです。そもそも自由貿易・移民政策の経済的合理性は、貿易圏内における労働生産性の向上、それによる財の総生産量の最大化にあります。そして増加した財を貿易を通じて貿易圏内で分配することで、すべての国民が利益を得ます。これはリカードの考え方です。

ところが、緊縮財政を組み合わせるとどうなるか?

自由貿易で労働生産性は上昇するものの、カネが回らないため、貿易圏内において財の総生産量と総分配量が上昇しません。これでは自由貿易の総利益は増えないのです。総利益が増えず、利益の分配先だけが資本家サイドに偏ることになる。本当に馬鹿げています。自由貿易・移民政策と同時に行うべきは、通貨の供給であり、ヘリマネによって国民の購買力を向上させ、生産性の向上による財の生産拡大を各国の国民に行き渡らせることなのです。それをしない自由貿易はナンセンスです。

新聞マスコミには、こうした基本的な認識すらないのです。そんな記事を見たことがありません。ただ盲目的に騒ぐだけ。まさにポピュリズム(愚衆)の先頭を走っているのが新聞マスコミです。

政策に絶対善などあり得ません。常に客観的に経済状況を観察し、タイミング、組み合わせ、実施順位を冷静に見極めなければ、社会はますます混乱するだけだと思います。

2017年4月24日月曜日

フランス大統領選 緊縮なら保護主義は当然

フランス大統領選挙が始まり、新聞マスコミは相変わらず「反EU、保護主義の動きに警戒が広がっている」と報道している。しかし緊縮財政のEUにおいては、むしろ保護主義を推進するのが正しい選択だと思います。

自由貿易は必ずしも各国民の利益になるとは限りません。経済状況によって大きな違いが生じるからです。資産家、富裕層にとって自由貿易は必ず利益になります。なぜなら、資本が所得を生むからです。しかし、労働者にとっては労働しか所得を得る手段がないため、雇用が労働者の利益の絶対条件となります。この雇用は自由貿易によって必ずしも増えるとはいえません。

現代の経済状況において自由貿易・移民政策は雇用を奪う結果となります。だからこそ、労働者にとって、保護主義が正しい選択なのです。現在の状況では自由貿易は必ず雇用を奪う、なぜでしょうか?

①緊縮政策によって総需要が不足=労働力が余剰になる
=失業の増大・賃金の低下

EU、ユーロ圏では緊縮財政・財政再建が推進されてます。このため、労働力の供給に比べて総需要が低いまま据え置かれています。これが失業率の改善を阻み、賃金水準の低下を引き起こす原因です。にもかかわらず、EUは緊縮財政を大きく変更しようとしません。その状況において、さらに自由貿易や移民政策を推進すると、生産性の向上によってますます労働力が余剰となります。その結果、さらなる失業の増加と賃金の低下が避けられません。

ここでベターな方法は緊縮財政を捨て、総需要を増大させる方法です。それなら自由貿易は雇用を生む。しかしEUはそれをしません。ゆえに、保護主義が正しい選択なのです。

しかも、さらに新たな失業・賃金低下の要因が加わりつつあります。

②テクノロジー(自動生産)の発達=労働力が余剰になる
=失業の増大・賃金の低下

自由貿易・移民政策に加えて技術的失業の影響が本格化すれば、ますます労働力過剰となり、失業と賃金低下はさらに深刻化するはずです。ゆえに、ますます保護主義が正しい選択です。

従って、フランス大統領選挙では保護主義を主張するルペン氏が、労働者にとって正しいと考えられます。しかし、保護主義によって総需要を増やすことはできませんから、それだけで国民の雇用が増えたり、労働者の賃金が上昇することはありません。最も重要な点は、総需要を増やすことです。

そのためには、大規模なヘリコプターマネーの実施により国民の購買力を向上させることが最も効果的です。ヘリマネの実施にはユーロ圏からの離脱が欠かせません。なぜなら、いくらヘリマネを実施したくとも通貨発行権を欧州中央銀行(ECB)に奪われている現状では不可能だからです。そしてルペン氏はユーロ圏からの離脱と、フランの復活を主張しています。ただし、ルペン氏がそれを理解しているかどうか。

フランスが不況と賃金低下、格差拡大を解消するには、緊縮財政から脱するしかありません。ヘリマネを実施するのです。そのためにはフランス国民に通貨発行権を取り戻さねばならない。

もし自由貿易推進論者がそれを回避したいのなら、その唯一の方法は、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏に向けて、大胆なヘリマネ政策に打って出るしかないでしょう。カネも刷らずに自由貿易、自由競争、市場淘汰を推し進めるとは、まさにヨーロッパ全体を緊縮でしばきあげることになる。

マクロン氏が勝てば、フランスの労働者は
自由貿易という欺瞞で苦しみ続けるでしょう。


2017年4月19日水曜日

人々は拡張現実ARの世界で生きている

ポケモンGOの流行で認知度が高まった拡張現実(AR)ですが、電子的には目新しいものの、現実認識の意味においては、すでに社会全体を覆っていると思うのです。

拡張現実とは何でしょうか。ポケモンGOの場合はスマートフォンなどのカメラ機能を利用することで、カメラを通してスクリーンに映し出された周囲の現実世界の映像中に、実際には存在しないモンスターの画像を重ねて表示することで、あたかも現実の世界に架空のモンスターが存在しているごとき印象を与える技術です。こうした技術はスマートフォンだけでなく、HMDといった目を覆う形で着用するデバイス、あるいはメガネのように装着するタイプのものも、広くはARと言えるでしょう。

これらは、現実世界の映像に、実際には無い何かを投影することで、現実に対する認識にも影響を与えることができると考えられます。つまり、そこに、実際には無い何かを感じるようになるということです。極端に言えば、視界に写るごく普通の人を犯罪者やモンスターとして認識させることも可能になるわけで、「大衆操作」「感情操作」のような領域にまで行ってしまうリスクもあります。

そうした意味で、拡張現実(AR)に不安を覚えないわけではありません。しかし、考えてみると「何をいまさら」感はあります。なぜなら拡張現実が登場する遥か以前から、人間の認知そのものが拡張現実だからです。

人間は過去の学習に基づいて、自分の身の回りや社会を無意識のうちに様々に認識(解釈)して行動しています。あるがままに見ることはまれです。学習の結果として、人により、同じものを見ても、そこにまったく別の意味を見出すため、多くの人で意見が合わなくなるのです。実際には見えない何かを見て、人は判断しています。それを常識や色眼鏡と呼んだり、あるいは思想やイデオロギーと呼んだりしますが、そうしたものを通じることで、実際にはそこに存在しない意味を見出しています。

そして、それが現実であると信じています。
現実は認知次第で作られるのです。

だから拡張現実によって大昔から人間の意思は操作されてきたわけで、何をいまさらなんです。逆に言えば、新聞マスコミあるいは政治家がさかんに報道したり発言する内容もまた拡張現実であると考えるべきです。実際にはないものを人々に信じさせようとしているのです。とはいえ、人間の社会はそれ抜きに成立しないのもまた現実でしょう。

そうした人間の性質を踏まえたうえで、時には現実をあるがままに捉え、そこを基点に考えてみる必要があるかも知れません。生の現実とはまさに「弱肉強食の生存競争」の世界がそこにあります。そうしてみると、この社会とはさもありなんと感じることもあります。

そんなことを思ったりします。

2017年4月18日火曜日

時代遅れの民進党は消え行くのみ

安倍政権のスキャンダルを盛んに攻撃する民進党ですが、その支持率はどんどん低下を続ける一方のようです。つまり「安倍がダメでも民進党はその代わりにならない」と認識されているようです。そりゃあそうです。消費増税をドヤ顔で進める民進党が支持されるわけがありませんね。

産経新聞社とFNNが2017年4月15、16日に実施した合同世論調査で、民進党の支持率は6・6%と昨年3月の結党以来、最低を更新したといいます。記事よれば、支持率低迷の最大要因は、旧民主党政権を支えた無党派層の支持が戻らないことだとしていますが、当然でしょう。
http://www.sankei.com/politics/news/170417/plt1704170043-n1.html

とにかく民進党は考えが古い。20年前の前世紀の常識で政策を考えているのでしょう。もちろん自民党も、とりわけ税制調査会の議員のような連中も強烈に古い。彼らの経済観念は未だに「インフレ時代の常識」そのままです。カネを増やせばインフレになる、だからカネは増やさずに、増税することしか考えない。いわゆる「緊縮財政脳」です。

基本的に彼らの頭の中の経済は「財(モノやサービス)」ではなく、「カネ」です。カネのつじつまを合わせることが経済政策だと思っているのです。ところが経済政策とは「財における生産の最大化と分配の公平性のバランス」です。その目的のためにカネが利用されているにすぎません。つまり、財の生産と分配が主、カネは従の関係にあるのが本来ですが、いつの間にか主従が逆転し、カネの価値が主、財の生産と分配はカネの価値を高めたり、増やしたりする目的に入れ替わっています。

そもそも社会主義の考え方は、「カネを増やすことが目的」という拝金主義的な資本主義に対抗し、「財の生産と分配」が主目的であるはずだと思うのです。ところが、労働組合の支援を受けるような政党が、緊縮と増税を政策に掲げ、財の生産と分配よりもカネの価値を維持することに与するようではお話になりません。

いくら安倍政権を叩いたところで、
民進党が変わらなければ、国民の支持は得られない。

安倍政権を叩くなというのではありません。安倍政権も民進党の「緊縮財政脳」よりマシなだけで、いまは主流派とされる経済学に乗っかっているだけです。安倍政権にはテクノロジーの進化を見据えた未来のビジョンなどまるでなく、一億総活躍社会といいつつ、その実態は老若男女すべてを労働に駆り立てる「一億総労働社会」を推進する前時代的な政権です。

それでも民進党や自民党の中に居る「緊縮財政脳」に比べれば、
遥かに今のデフレ時代に適応している。

民進党が再び無党派層の支持を得るには、民主党政権時代に国民の反対を押し切って強行した消費税増税を「自らの間違いだった」と認めて国民に謝罪し、緊縮財政脳を改めて、財政拡大へ転じ、カネよりも生産と分配を重視する政策へと180度方針を変更する必要があります。

なぜそうしないのか?恐らく、「自分達は常に正しい」というメンツやプライドがあるからだと思います。間違いを認めることは自分達の否定になる、それを恐れているのだと思います。ならば、我々がわからせてやるしかない。

消費税の増税を推進するような野党は絶対に支持しないし、
皆さんも支持してはいけないと思います。

2017年4月17日月曜日

年金の負担増は課税システムに原因あり

少子高齢化と言えば、新聞マスコミや与野党を問わず多数の政治家も「高齢者を支える労働人口が減少し、年金支給のための負担増はやむを得ない」と主張します。しかしいくら家計への課税を強化しても年金問題はまったく解決しないでしょう。彼らはまるでピントがずれているからです。

その理由は少し客観的に考えれば誰でもわかることです。つまり、将来的には次のような状況が生じると考えられます。

①人工知能や自動生産機械によって、財の生産性は拡大し続ける
②労働人口の減少率よりも機械化による生産性の増加率が高ければ生産量は拡大する
③一方、労働人口が減少すれば家計から得られる税収は減少する
④結果、人々の必要とする財は十分にあるが、財を分配するためのカネが不足する

つまり、生産能力も財も人々の需要を満たすだけ十分にあるが、分配のためのおカネが無いという問題になります。これまでの常識ではこのおカネは家計への課税に依存してきました。しかし労働人口が減少すれば税収が減少するのは当然であり、財は十分あるのにおカネが回らないという問題が不可避的に発生します。これは通貨循環におけるシステム上の欠陥です。

では、通貨循環においてどこにおカネが停滞するか?企業サイドに停滞します。なぜなら人工知能や自動生産機械によって、企業から家計へ支払われる賃金総額が減少し続けるからです。それは、生産年齢人口の減少(労働者の減少)によって企業の支払い総賃金が減ることと同じ意味です。

機械化に伴って企業に停滞するおカネを回収して循環させる必要がシステム上必ず必要になります。それにより国内における財の生産と分配(消費)の通貨循環量(GDP)が維持され、家計への負担を増やすことなく年金制度は維持できると考えられるのです。

すなわち、家計への増税ではなく、通貨の発行と企業への課税強化によって財源を確保しなければなりません。

ところが、新聞マスコミや政治家の大好きな「拝金主義的グローバリズム」の思想だとそうならない危険性があります。企業に停滞するおカネを回収して国民への財の分配へ回すのではなく、企業への課税を逆に軽減してこのカネを海外への投資へ回し、企業利益の拡大=株主利益の拡大を図ると思います。

ですから、彼らは国民への課税を強化して再分配しようと言い出すでしょう。国内の通貨循環(内需)を犠牲にしても海外への投資や輸出を拡大して企業利益を出そうとするはずです。拝金主義グローバリズムに騙されないよう気をつけてください。

テクノロジーの進化に伴う生産の自動化によって、必然的に家計に支払われる総賃金は減少しますので、年金の財源を家計への課税に依存する税制では年金制度は必ず破綻します。

年金の負担増は、
少子高齢化とは無関係に、課税システムに原因があるのです。

2017年4月13日木曜日

生存のための生産活動か、生産のための生存か

人間は生存するために生産活動を行います。ですからあくまでも生産活動は人間が生きるために必要なのです。ところがいつの間にか主客が逆転した世の中になって人々を苦しめています。

主客が逆転している。つまり「人間が生存するために生産活動する」のではなく、今は「生産活動するために人間が生存する」と思われるようになり、ついには「生産活動に必要ない人間は不要である」のが当たり前だと考えられる社会に成り果てています。

そんなバカな話はない、と思うかも知れませんが、果たしてそうでしょうか?

企業にとってみれば「生産活動に必要ない人間」とは余剰人員を意味し、余剰人員をリストラすることが「正しい選択」と考えられています。「企業にとって生産活動に必要ない人間は不要である」は当たり前なのです。それは市場システムによって動く資本主義の社会ではある意味で当然です。

ところが、生まれた時からそのような価値観の世の中で生活している人々は、やがて「社会にとって生産活動に必要ない人間は不要である」と、考えるようになります。そして「余剰な人々を社会からリストラすることが正しい」と当たり前に考えるようになってしまうのです。

そして「生産活動に必要ない人間は不要である」という企業の論理を社会全体に広げ、企業の論理によって生じる失業を「自己責任」であるから「放置しろ(自滅させろ)」と主張する人々が出現するようになります。驚くべきことにこうした考えは世間の大半の人々に染み付いてしまっているようです。

生産活動するために人間の生存が許されている社会。

しかしながら、この主客が逆転した今日における「常識」がこれまで大きな矛盾を生じてこなかった理由は単に「労働力が希少な時代だったから」に過ぎません。近年における人工知能や自動生産工場の急速な進歩により、「企業における余剰な人員」は劇的に増加し、それに同調して「社会における余剰な人員」も劇的に増大するという馬鹿げた事態を引き起こす恐れが出てきたのです。失業者が膨大に発生し、その失業者を社会からリストラ(処分)する時代が訪れるのです。

新聞マスコミは「人工知能に仕事を奪われる」という本末転倒なことを平気で書いています。しかも彼らは本末転倒であることに気付かない。なぜなら、新聞マスコミの信じている常識がすでに主客逆転しているからです。「生産活動するために人間の生存が許される」との前提に立てば、仕事を奪われることは生存の危機との発想しか生まれてこないのです。相変わらず新聞マスコミの無知には驚かされます。

「生産活動するために人間の生存が許される」という資本主義的な価値観は、いまや人工知能や自動生産工場の登場によって再認識する必要に迫られています。主客の逆転した「不自然な常識」を捨て、人間生存のための生産活動に回帰する。それがベーシックインカムへの行程であると思います。

2017年4月11日火曜日

人口減少で社会保障不安煽るマスコミ

新たに発表された人口推計を受けて、社会保障の不安を煽る新聞マスコミ。テクノロジーによる生産性の向上はまるで無視して、年金抑制、医療費抑制の緊縮財政を主張、経団連はここぞとばかり移民の必要を強調。まさにマスコミによるポピュリズム手法が展開中です。

今から50年後の2065年の人口推計を国立社会保障・人口問題研究所が発表しました。それによれば日本の総人口は8800万人に減少し、高齢化率は現在の約27%から38%に上昇するといいます。それを受けて某新聞は「社会保障・働き方改革が急務」と見出しを打ち、記事では公的年金の縮小、高齢者の延命治療の見直しなどを掲載。緊縮マルだしの内容となっています。

もちろん経団連の榊原は人手不足で移民が必要、女性はもっと働けと主張しています。菅官房長官は一億総活躍の正当性をアピール。とにかく「労働強化」に余念が無い。

その一方で、テクノロジーの進化や設備投資による生産性の向上の話は政府にも経団連にも、新聞マスコミにもまったく見られません。ひたすら頭が「人間の労働中心」なのです。人工知能や無人工場は、まるでないがごとき扱いに驚きました。これは50年も先の話ですよ。50年後の人工知能や無人工場はとんでもなく向上しているはずです。今のまま50年が経過するわけじゃない。

50年後も人間の労働がないと富(財)が生まれないと考えているなら、経営者も政治家もマスコミも入院が必要なレベルですよw。

おまけに今回(2017年)の推計では前回(2012年)に比べて出生率が増加しているといいますが、その要因が「子育て支援政策の成果」だと主張しているのには驚きました。いや、2012年にくらべてかなり景気が改善してきたからでしょう。リーマンョックから立ち直りつつあるからです。人口増加には景気回復が重要なのです。しかしマスコミにも政府にもそういう評価は一切ありません。

人口減少の推計を持ち出して社会保障制度に関する不安を煽るマスコミ。不安を煽って大衆を誘導する手法を「ポピュリズム」といいますね。しかも「社会保障の不安が消費を減らしている」といいながら、社会保障の不安をこれでもかと煽る新聞マスコミは、その場その場で都合のいい事を書いているだけでしょうw。

人口減少の推計に対して、政府もマスコミも「緊縮財政マルだし」です。庶民の年金を減らし、高齢者に早く死んでもらいたい、消費税を増税したいとの意図が新聞マスコミ記事から、ひしひしと感じられます。悲観的な未来を打ち出す連中にはもう辟易です。

希望を打ち出せ!人工知能や無人工場テクノロジーの研究開発推進、設備投資の促進によって「人手を必要としない社会を50年後に実現する」のが正しい。人々の所得を向上して、女性が無理に働く必要の無い、ゆとりのある社会を実現することで出生率を高めるのが正しい。

なぜ人々に希望を与え、力強い前進を促そうとする新聞マスコミは日本に無いのか。悲観的で緊縮で、後ろ向きの、平等に貧しくなる主張が日本に溢れていることこそ大問題です。

間違いなく悲観的なマスコミが日本をダメにしています。

2017年4月10日月曜日

性懲りも無く「消費増税」を主張、経団連榊原

財務省の財政制度等審議会の会長に、経団連会長の榊原が新たに就任したという。そしてさっそく「消費税の増税が絶対に必要」と発言したらしい。ほくそ笑む財務省、日本は終わってますw。

企業にとって売り上げと利益の拡大が最も重要な目標です。本来であれば世の中の消費を増やして売り上げを増やすべき企業の経営者団体のトップが、あろうことか財務省の神輿に乗って「消費税の増税が絶対必要」と発言する日本は異常です。すでに前回の8%への引き上げでデフレ脱却が遅れているにもかかわらず、10%へ引き上げればさらに消費は減るでしょう。

しかも榊原は日本の消費が伸びない理由は「社会保障制度に不安があるから」と発言。まさに財務省の主張そのものです。社会保障より何より、消費が伸びないのは一般庶民にカネがないからです。カネを持っているのは公務員と老人だけ。

なぜ経団連の榊原が消費税の増税に固執するのか?常識的にはまったく理解できないため、斜めから推察してみることにします。

①法人税の引き下げを認めさせたい

財務省に取り入って、法人税の引き下げを実現させたいからでしょう。法人税の引き下げには代替の財源が必要との話になる。だから法人税の代替財源として消費税の引き上げに賛同し、消費者の首を切って差し出すのだと思われます。

②カネの無い日本人は客じゃない

消費税を増税すれば売り上げが減ることくらい誰でもわかります。それでも榊原が増税を主張するのは恐らく「カネのない日本人に売れなくとも、金持ちの外国人に売れればいい」と考えているからでしょう。だから輸出を拡大して売り上げを伸ばそうと自由貿易協定を必死に進めようとしていると思われるのです。法人税減税を実現するため日本の消費弱者を切り捨て、中国人やアメリカ人などに売って稼ぐから困らない。

これは邪推に過ぎないでしょうか?いえ、恐らくこのままいけば結果として「法人税の減税」+「内需縮小」+「外需依存拡大」になるでしょう。さらに「移民政策」ですw。このままだと経団連の榊原によって日本は滅茶苦茶にされてしまう。

経営者なら、世の中の売り上げが増えることを考えるべき。
ゆえに「ヘリコプターマネー」こそ正しい主張でしょう。
増税を政府に働きかける間抜けっぷりは空前絶後だわw。



2017年4月7日金曜日

韓国で反日政権誕生すればチャンス

韓国では反日色の強い政権が誕生する可能性が高い。これはむしろ慰安婦問題を最終的に決着させるチャンスだと考えるべきです。徹底的に韓国のウソを論破して全世界に知らしめることが正しい日韓友好を導くのです。

基本的に争いを好まない日本人の性格からして、これまで慰安婦問題に関しては韓国の主張に配慮しつつ、白黒をあいまいにして妥協点を見出す解決方法を探ってきました。先の慰安婦に関する日韓合意もその延長線上にあったわけです。そして両者が妥協したのです。

ところが、韓国の次期政権がその妥協をひっくり返すという。こうなったら、もはや白黒つけるしかありません。やるなら勝つ、負けるわけにはいきません。これまで韓国に遠慮してきたため、日韓関係がいつまでたっても正常化しなかった。遠慮する必要はまったくありません。韓国に対しては「徹底的にやる」しか選択肢が無いことが明白になるのです。

しかも慰安婦問題は虚構である可能性が高い。北朝鮮によるプロパガンダにより、ウソが事実として作り上げられている可能性が極めて高い。なぜなら、慰安婦20万人強制連行、20万人の慰安婦虐殺を客観的に裏付ける証拠が何もありません。逆にそうした事実が無いという裏づけの証拠ならある。

つまり、プロパガンダによって歴史的事実が捏造され、韓国のすべての国民が振り回される。これは人類の歴史においてヒトラーのプロパガンダに並ぶべき汚点です。民主主義の危機です。もし証拠も根拠もないウソが国際社会にまかり通れば、それこそが悪い歴史になる。プロパガンダによる世論操作を何としても阻止せねばなりません。

日本人は使命感を持って、この恐るべきプロパガンダと戦わねばなりません。これは人類の民主主義をプロパガンダから守るための戦いでもあるのです。そして、韓国と徹底的にやりあい、韓国のウソを叩き潰すことが、彼らの呪縛を解き放ち、本当に日韓の友好につながる。過去への反省や甘ったれた同情心では何も問題が解決しないことを日本は思い知らされました。誤った認識の元では日韓友好は千年先まであり得ません。

傲慢で高圧的な立場を当然としか思っていない韓国政府を徹底的、完膚なきまで叩き潰し、ぐうの音も出ないほどに押し込めて、ようやく、韓国と冷静に対等な立場から話し合いが出来るでしょう。ようやくまともに客観的な交渉がスタートできる。

妥協の日韓友好など成り立たないのが明白になりました。
真の日韓友好のために、あえて厳しく対応しなければなりません。

2017年4月6日木曜日

人手不足は経済成長にとって問題なし

新聞マスコミは相変わらず「人手不足が経済成長の足かせになる」と主張していますが、その指摘は無意味です。経済成長を人手に頼る政治家や経営者は能力が不足しています。経済成長の足かせは投資不足=消費不足がすべてです。

日本がバブル経済だったころ人手不足はすさまじく、アルバイトの賃金が正社員の新入社員の賃金より遥かに高いほどでした。それでも「人手不足が経済成長の足かせになる」と大騒ぎになった話は聞いたことがない。

経済成長は人手の増加ではなく、設備投資(資本装備率の向上)つまり機械化によって成されてきた部分が遥かに大きい。なぜなら、生産性の向上の最も大きな部分は、機械化によって達成されるからです。産業革命とはそういうことです。もちろん機械化以前にマネジメントがアホな会社もありますが。

人手が足りないからといって安易に移民を入れても、生産性はまったく向上しません。むしろ生産性は低下します(資本装備を増やさない場合)。ただし(生産量)=(労働人口)×(生産性)ですから、人手が増えれば生産量が増加するのはあたりまえ。だから、移民を受け入れれば企業の経営者のマネジメントがどんなに無能であっても経済が成長するわけですw。

ただし、生産量の増加に見合うだけ消費も増加しなければ、売り上げは増えませんから、移民を入れても経済はまったく成長しません。売れなければ企業にとって社員を増やす意味はありませんので、移民を雇用してコストダウンしつつ、国民をリストラする=国民の雇用を奪う結果をもたらすだけです。製造コストが下がってデフレになり、しかも売れないので海外へ輸出を始める。

一方、移民に頼るのではなく、投資を行えば機械化が進みますから、人手が増えなくとも生産量が増加します。ただし、投資は経営者が無能だと判断が難しいですね。経営者にとっては投資より移民に頼る方が頭を使わなくて楽ですw。

設備投資が不足しています、これが経済成長の足かせになります。ではなぜ投資が思うほど進まないのでしょうか?消費が伸びないからです。もし企業が投資したにも関わらず、生産に見合うだけ消費が伸びなければ、投資は失敗してしまいます。物が売れないのに、投資するはずがありません。

設備投資を高めるには、まず消費が必要です。

そのためにヘリコプターマネーです。おカネの出所がどこだろうと企業にとっては関係ありません。おカネに色は付いていない。もしヘリマネで国民の消費が増加すれば、企業の目の色が変わります。利益を求めて先を争って設備投資を始めるはずです。企業とはそういう生き物です。

人手不足などまったく問題ありません。
消費不足こそ超大問題です。

庶民にカネのない事が経済成長の最大の問題です。

2017年4月5日水曜日

「社会に満足な人が66%」は危機だよ

内閣府の調査によれば、66%の人が社会に満足だそうです。

(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017040100430&g=soc

以下引用)

内閣府は1日、「社会意識に関する世論調査」を公表した。

 「現在の社会に全体として満足しているか」との質問に「満足している」と答えた人が前回調査比3.9ポイント増の65.9%に上り、2009年の設問開始以来最高を2年連続で更新した。「満足していない」は同3.9ポイント減の33.3%で過去最低だった。
--引用ここまで

アンケートの結果を受けて、「事なかれ主義」の政府・官僚は安堵しているに違いありませんが、この結果は安心どころか危機的な状況であると思います。なぜなら大半の日本人は「欲がなくなってしまった」ことを意味するからです。

現状に満足せず、それ以上の何かを求めるからこそ社会は向上するのであって、満足してしまったらそのままということです。しかも今の社会のレベルは国民が十分に満足できるほどのレベルに達しているとは思えません。

たとえば現状の社会がたいへん素晴らしい状況で、なおかつ国民が満足しているなら問題はありません。しかし現状は消費が低迷してデフレ不況が続き、国民所得が減少を続け、長時間労働は解消せず、介護や育児の問題もあり、格差や貧困は一向に解決していません。なのになぜ人々は満足するのか?

それは「貧困でも満足できる人間」になってしまったと考えられるのです。長引くデフレや不況に我慢を続け、そうした状況に慣れ、感覚が麻痺して不幸を感じなくなってしまう。まあいいや、と諦めてしまう。そして国民が低いレベルに慣れ甘んじる状態になれば、官僚も政治家も努力などしなくなる。これでは日本の行く末はジリ貧になってしまうでしょう。結局は耐えられないほどの状態になるまで人々は「我慢」を続けてしまう。しかし、それでは手遅れになる恐れがあります。

まさに「デフレマインド」ではないのか。

国民の不満が多いよりは少ないほうが良いとは思います。しかし社会の現状が満足できるレベルに無いにも関わらず国民が満足してしまう。国民がこんなレベルで満足させられている悲しさ。そこに強い危機感を覚えてしまうのです。