2017年5月8日月曜日

マクロン氏はEU財政統合を目指すべき

マクロン大統領の誕生で、フランスが「失われた20年」に陥るリスクが非常に高まりました。金融・財政政策が使えないからです。この状態を打破するためにはEU財政統合しかありません。一言で言えば「ドイツのカネをフランスに再分配しろ」です。

フランスはユーロ(通貨統合)によって通貨発行権を失い、その結果、国家の二大マクロ経済政策である、金融政策と財政政策の両方を失いました。金融政策はECBに握られ、財政政策はEUから緊縮を強制されています。この状態でフランスに残された政策余地は、国民を市場原理・自由競争でさらにしばく政策、つまり「規制緩和」「構造改革」だけでしょう。

「緊縮+構造改革」は日本における失われた20年そのもの。
ようこそ、フランス。失われた20年へ。

フランスはデフレと失業から抜け出せず、「勝ち組み」と「負け組み」の社会分断はさらに深まることになるでしょう。

マクロン氏がマクロ政策で今できることは、ECBに泣きつくことだけ。なんとも情けないですねw。しかし、欧州統合派のマクロン氏にも逆転の目がないわけではありません。逆転満塁ホームラン級の手があります。それが「EU財政統合」です。財政統合なら、EU統合にも矛盾しません。マクロン氏が進めるべきはこれでしょう。

財政統合を簡単に言えば、市場競争を通じてユーロを吸い上げているドイツに課税して、そのおカネでフランスの財政政策を賄うというものです。簡単に言えば、統合EUにおける再分配政策です。国境を越えて再分配を行うのです。

通貨統合でカネは国境を越えて吸い上げられるのに、再分配は国境を越えないのが今のEUです。これでは、同じEU内でも国家間で格差が激しくなるのは当然です。日本でも地方への再分配が無くなれば、地方が疲弊してしまいますが、それとまったく同じです。

ドイツで課税してフランスに再分配する。その再分配で財政政策として社会保障はもちろん、インフラ投資、産業育成なども行えばよいでしょう。それなら、通貨統合に伴って損なわれた財政政策の自由を回復することが出来ます。

そんなに「統合」が好きなら、
財政も統合して、きちんと再分配すべきです。

そうそう、もう一つ、すごい方法(冗談)もありますよ。財政が統合できないなら、フランス人がドイツに民族大移動するんです。そしてドイツ人になる。「人の移動は自由」なのだから、フランス人がドイツに大挙して押し寄せて、ドイツを占拠して権利を主張すればいいんですw。民族統合ということで。